2013年度講演会

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2013年度 講演会 「韓国昔話」

日 時  :  2013年12月8日(日)15:10から15:45
場 所  :  東京都障害者福祉会館 2階 集会室B1
演 者  :  金 基英さん
聴 衆  :  悠声会会員 約70名

土田会長から金さんの紹介:
 金さんは韓国の民話を日本語でお話をされる有名な語り部(かたりべ)でいらっしゃいます、一昨年(2011年)4月に悠声会が韓国訪問研修会の時に 通訳をして頂いたことから知り合って、昨年もこの「韓国昔話」の講演をして頂いております。

金さんから
 年末の忙しい時期にもかかわらず 呼んで頂いて 今日を楽しみにしておりました。韓国の昔話を聞いたことのある方は昨年の経験があるので 何人も居られますね。土田さんから 昨年話さなかった物語にして欲しいとのご依頼がありましたが、私自身が昨年何をお話ししたか忘れております。
 韓国の郷土衣装ですが 特に今日はこの刺繍の靴をお見せしたいので履いて来ました。(いつもながらの素晴らしい衣装でした)
 韓国の昔話は儒教ベースのお話しですので、親に孝行とか名上を敬えとか兄弟仲良くとかのお話しが一般的です。
 話の始めは、「昔々 虎がタバコを吸って居た頃のお話しです。」から始まります。

1.減らない稲

貧乏な兄弟で兄は女房を貰っていた家に同居していた弟が今度結婚することになりました。兄は、弟へ譲る田畑もほんの少ししかないので 弟の夫婦の生活が成り立つように毎夜少しずつ稲を刈って 弟の畑へ持っていきました。このことは女房にも誰にも言わずに真夜中にしておりました。しばらくして、その量を少し多くしましたが 自分の畑の稲が少しも減らないのが変だなと思っておりました。或る夜に これまで通りに稲を運んでいると向こうから誰かが来ます。
近づくとそれは弟でした。弟は自分が家を出ると人手が減るので兄が困るであろうと考え 自分の田んぼの稲を少しずつ刈って兄の田んぼに運んでいたのでした。それでいつまで経っても稲が減らないことが分かりました。この兄弟はいつまでも仲良く暮らしたとさ。

2.親孝行

親父と息子夫婦が一つの家で暮らしておりました。親父は「いつになったらお迎えがくるかな」と言いながら痩せてなにもせずに家におりました。息子の嫁は若くして親を亡くして育った者ゆえに父親のことが嫌いで父親の食事は準備だけして自分は朝めしを食べ終わると働きにさっさと出掛けました。
ある時、息子が市場から大きな麻袋に栗の実を沢山買ってきて「父親に朝晩3粒ずつ食べさせて 死ぬまで優しくして呉れ」と女房に頼みました。それから女房は、朝、昼、晩と昼までも毎食ごとに栗を3粒でなく5粒父親に食べさせました。そうすれば早く父親が亡くなると考えました。それが半月、1ヶ月、2ヶ月と続きましたが だんだんと父親の顔がふっくらとして来ましたので 女房はおかしいなと思いました。それで毎晩遅くまで待って疲れたでしょうと優しい声を掛ける様になり するとますます父親は元気になって来ました。
こうして 父親と息子夫婦は末永く睦まじく暮らしたとさ。実はこの栗は、漢方薬等買えない息子が父親を元気にするための薬替わりに与えたので父親は元気を取り戻したのでした。

3.おならをしない人

何でも出来る美しい娘が年頃になり 両班の息子と縁談が調い結婚式を挙げました。新婚初夜に花嫁衣裳を脱いで夫婦が床につくと それまでの疲れがどっと出た花嫁はオナラをしてしまいました。次の日も同じ事が続き3日目も続きとうとう4日目にその娘は家から追い出されてしまいました。韓国では一旦嫁に出たら実家に帰る訳にも行かず 離婚も出来ず娘が一人で暮らしました。でも初夜での妊娠して居る事が後から分かり 息子を生み育てました。その子が7つの時です。この両班に息子が「素晴らしいキュウリの種があります。蒔いて夕方には成る種です。」するとその両班は「そんな種は有るはずない」と言い
息子は「ただし 一生オナラをしない人が蒔かなければこのキュウリはならない」と言いました。その話を聞いて両班はこれが自分の息子だと分かり 元の夫婦と息子三人で幸せにその後を暮したとさ。

以 上


金さんの講演風景