八王子言語聴覚士ネットワーク学術集会

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八王子言語聴覚士ネットワーク学術集会参加報告

 2014年1月12日(日)、東海大学医学部付属八王子病院に於いて、八王子言語聴覚士ネットワーク学術集会が開催されました。その中で「教育講演」として、喉頭癌等で声を失った場合にはいわゆる代用音声として、シャント発声法、食道発声法、電気喉頭発声法がありますが、其々の発声の手段や当事者の皆さんの体験を講演して欲しいと依頼されて参加しました。
 その日が悠声会の例会と重なり例会を休んだ事も踏まえ、当日の講演した内容をご報告したいと思います。下記の内容を基本に所々会話調に膨らませ発表しました。
 フリーハンズで話をしたのですが、後でDVDを見て気が付いた反省点として、マイクが固定でしたが、顔を多少左右に動かした為、聞こえづらい個所が有ったことです。立ってマイクを手に持って話したほうが良かったと思いました。因みに、DVDで一部を掲載しますので、時間が有りましたら、見て頂きたいと思います。

八王子ST研修会発表内容

 私は、11年前に下咽頭癌の手術をしました。声を失う事は覚悟していましたが、現実となると想像以上の事でショックでした。真っ暗で、いや、目は見えるのですが、気持ちが沈んで、これからどう生きて行くのか悩みました。手術したのは相模原の北里大学病院ですが、何日か後に病院の言語聴覚士の先生から電気喉頭を習い、使える様になって気持ちが少し和みました。退院後銀鈴会を訪ね、ここでは、約100人以上同病の患者が居て、びっくりすると同時に励みになりました。
 銀鈴会で2005年に海外研修旅行でロンドンの喉頭摘出患者交流会に行った時に、初めてシャント発声法(プロヴォックス)を知りました。食道発声法は声を出すために使う空気の量が少ない為に言葉が続かないのですが、ロンドンの患者が声は大きく流暢に会話しているのでびっくりしました。私は帰国後ネットで調べて、株式会社名優が扱っている事を知り、訪ねて種々説明を受けて、扱っている病院を訪ねて、プロヴォックス留置している患者にも会って説明を受けて、2006年1月に留置手術を受けました。
 その際に気付いたのは、こんな素晴らしいシャント発声法が日本に普及しない理由として、病院の医師はがんを取り除く事が主体で、その後、声を失う事には関心が無いという事と、食道発声教室の上層部の方々はひたすら隠していたということでした。私は、声を失った後の代用音声には、食道発声法、電気喉頭(EL)、そしてシャント発声法の三つがある事を主張し、PRを行って来ました。其々に長短はあります。差し詰めシャント発声法は直ぐ喋れる長所が有りますが、短所は経済的負担が月々二万円程度掛かる事です。悠声会ではこの負担の軽減の為に、各自治体に人工鼻を障害者日常生活用具の対象にする為の陳情活動を積極的に行い、現在23自治体で認定の実績を上げています。ここ3〜4年で大変シャント発声法が増加しております。シャント発声法は、埋め込み型と云って、気管と食道の間にシリコン製品のパイプを埋め込み、肺の空気を気管から食道に吹き込み食道の粘膜の振動で声を出す事で、留置すれば殆どの人が直ぐ喋れるのですが、そうでない人もいて、タイミングとか腹式呼吸の取り方、人工鼻のケアー等について専門な資格を持った言語聴覚士の先生方のお世話が必要になる事も事実おります。
 因みに、皆様もご存知だと思いますが、前衆議院議員与謝野馨さんが一昨年喉頭摘出手術をされまして、電気喉頭を習っているという情報を聞き、直ぐ与謝野事務所に先生のような活動されている方には、シャント発声法が良いと思いますと勧めました。その様な経緯から、昨年12月25日に与謝野先生の事務所に読売新聞記者と一緒に行って対談をしました。長い間重要な政治家として携わった方だ、シャント発声法での会話が、本当に上手で、素晴らしい対談が出来ました。そして、議員を辞めたので、これからは皆様に、私の出来る事なら何でもやりますからと力強い言葉を頂きました。
 悠声会では、毎月第2日曜日に定例会を行っています。その際には言語聴覚士の先生にリハビリをお願いしています。最近は言語聴覚士の先生方が、毎月5〜6名来られております。所属の病院でシャントの手術をやる様になったので、是非勉強したいのでと見学に来られるのです。本日勉強なさっている言語聴覚士の先生方にも興味を持って頂き、携わって頂ければ誠に幸いと思います。

 最後になりますが、この病気になって色々悩みや苦労もしましたが、悪い事ばかりでなく良かったと思う事が有ります。病気になったのが66歳でしたが、サラリーマンで一つの会社に35年以上務めました。その為、人のお付き合いが、仕事以外でも何でも会社関係で極めて世間が狭かった。しかし、病気してから、例えば職業でも色々な経験をした方々にも会えたし、多くの患者会に行ったり、市区町村の自治体に陳情活動に行ったり、大変世間が広くなったと思っております。本日皆様にお会い出来たのもその一つと大変感謝しております。以上で終わります、有難うございました。