第8回海外研修旅行報告
2016年4月18日から24日まで海外研修旅行を実施しましたので、報告いたします。
今回はマレーシア・シンガポールを訪問しましたが、その大きな目的がマレーシアの喉摘者団体との交流でした。マレーシアでは丁度喉摘者団体を立ち上げたところということで、悠声会の訪問を機に発足式典を行うこととなり、ゲストとして招待を受けての参加となりました。
4月20日、マレーシア喉摘者団体(Malaysia Laryngectomee Association: MLA)の発足式典が開催されました。会場のマレーシア国民大学には関係者が詰め掛け、150席ほどの講堂は満席となり、立ち見も出るほどでした。式典はマレーシア国民大学耳鼻咽喉科頭頸部外科部長のスピーチから始まり、MLA会長からのMLA紹介、悠声会土田会長からのごあいさつ、マレーシア国民大学医学部長による記念スピーチ、MLA・悠声会それぞれによる出し物、意見交換会と続きました。スピーチに関しては要約を記載します。
マレーシア国民大学耳鼻咽喉科頭頸部外科部長・Mohd Razif Mohamad Yunus先生による歓迎スピーチ
MLA発足式とマレーシア・日本の喉摘者団体の国際交流会を開催できることを大変嬉しく思っています。MLAは喉摘前後の方々を支援するために結成されました。医師による臨床的支援と喉摘者同士での心理的支援を共存させることでよりよい支援体制になると考えています。
MLA:Fon Kar Oon会長によるMLA紹介
喉摘・喉摘者の認知度向上、喉摘者の生活支援、喉摘後もコミュニケーションが取れることを示す、喉摘者への経済的支援を募る、これらを目標とします。会は医師などからなる臨床グループと喉摘者からなる患者グループで構成されています。
土田会長によるスピーチ
2003年に悠声会を立ち上げ、認知度の低かったシャント発声を広めるとともに喉摘者の経済的負担軽減のための活動を続け、会の規模も大きくなってきました。また、海外の喉摘者の皆さんとの交流も行っており、今回もMLAの皆さんと意見交換ができることを大変楽しみにしています。MLA発足を心よりお祝い申し上げます。
マレーシア国民大学医学部長・Zaleha Abdullah Mahdy先生による記念スピーチ
ここに皆さんとともにMLA発足を祝うことができることを心より嬉しく思います。この式典のメインイベントとして国際交流会を行うことで、声帯を失ったとしても地域だけでなく異なる文化で生活してきた方々とも交流することができるなど、あらゆる可能性を証明することでしょう。日出づる国よりおいでになった皆様に詩を贈ります。
ペトロナスツインタワーは高くそびえ、
プトラジャヤは行政のランドマークを成す。
遠くからお越しくださったゲストの皆様、
ようこそおいでくださいました。素晴らしい滞在となりますことを願っています。
ここに正式にマレーシア喉摘者の会の発足を宣言します。
出し物は、MLAより歌や楽器の演奏、悠声会は「上を向いて歩こう」の歌唱を行いました。その後記念撮影を行い、意見交換会となりました。
マレーシアと日本のお互いの状況を話し合いましたが、マレーシアでは喉摘が非常に少なく、年間30例ほどで、その代わりそのほとんどがシャント発声ということでした。また、マレーシアでは保険などの支援が非常に弱く、シャント発声を続けるうえで必要な定期的なプロテーゼ交換が経済的負担として大きいため、安心してシャント発声ができるように喉摘者へのスポンサーを募ることもMLA発足の理由であるという話もありました。発声の経験や知識は悠声会の方がかなり豊富なようで、ブラッシングをはじめ、多くの質問を受けました。
以 上