取手市役所日常生活用具給付認定陳情報告

１．陳情日時　２０１４年８月２９日（金）　１４時～１５時４０分

２．陳情場所　取手市役所庁舎１階　健康福祉部　障害福祉課　会議室

３．参加者　　障害福祉課
　　　　　　　　　係長　髙野　厚　さん
　　　　　　　　　　　　　中根　良輔　さん
　　　　　　　　悠声会　土田　義男　会長
　　　　　　　　　　　　　鈴木　晄夫　理事
　　　　　　　　　　　　　高野　茂　　理事
　　　　　　　　　　　　　重田　雅彦　取手市在住会員

４．提出資料

悠声会パンフレット
喉頭摘出前後の喉頭構造の図
プロヴォックスと人工鼻のイラスト
オランダ喉摘者団体の無喉頭発声法の暦年推移表
シャント法実施病院リスト　平成25年度版　
プロヴォックス等の価格表
日常生活用品を人工鼻認定自治体リスト　３３ヶ所認定
横浜市の支給案内と本年10月からの変更連絡（適応範囲拡大）
八王子市の支給案内
まつど市の支給案内
新聞・週刊誌の記事　数枚
女性の科学　記事
がんサポート　会長の記事

５．陳情内容

土田会長より　提出資料に基づき下記説明

資料説明前に前置きを下記のお話しをした。
茨城県の常陸大宮市在住の会員が市役所へこの人工鼻が多くの自治体で日常生活用具として認定されていると相談に行くと市の担当者から会長宅へ資料送付依頼があり　すぐに資料を送付したら　常陸大宮市では認定された実績があります。悠声会の会員として茨城県の方としては常陸大宮市、水戸市、桜川市、取手市等があります。また、岐阜市からも人工鼻の資料請求があり送付したら　6月20日に田中市議から議会で本件の質問をして　福祉部長から安全性や実用性確保されているので、次年度取り入れるように対応するとの回答あり。悠声会が陳情しなくても実現しているケースがあることを説明。

悠声会のパンフレットのホームページを紹介して後ほど時間がある時に覗いて頂くことをお願いした。
ガンなどの病気により喉頭全摘して色々な障害が生ずるがその内でやはり最大の障害が声が出なくなる事です。その為に無喉頭発声法としては　食道発声法、電気喉頭法、シャント発声法の3種類ありそれぞれにメリットとデメリットがある。　日本国内では食道発声教室が全国にあり発声出来る先輩患者が教えているが　どうしても習得に時間が掛かり世間で通じる程度にまで出来る様になるのは3割程度、仕事が出来るまでは1割程度が実態です。
　人工鼻はシャント発声の患者本人がほぼ毎日手入れをして交換を数日ごとにはやらなければ　発声が出来ない用具でアドヒーシブとＨＭＥカセットそれぞれを月に20個づつ支給して頂く金額23,100円をベースとしてお願いを各自治体に陳情しております。これは平均的使用量でこれ以上は本人負担としております。
　シャント発声の方でアドヒーシブの代わりにラリーボタンを使用している方もあり　昨年から横浜市で限度額以内であればラリーボタンとスキンシップ、リムーバー等も適用可能となり　それが松戸市にも今年8月1日から適用となったのでこのことも適用して頂く様に陳情しております。
全国でのシャント発声手術を実施している病院は昨年9月現在では95ヶ所です。これは現在ではもっと増えております。と言いますのは　気管と食道を繋ぐパイプの補装具（プロテーゼ）は医師の健保対象ですが　これまでその保険が10,700円しか認めておらず　実態とし現在は23,100円との大きな差額が病院側の負担となっておりました。これを3年間の悠声会からの厚労省へ保険点数見直し陳情をして本年4月からこれまでの一般埋め込み型とは別に長期留置型として28,100円が適用となり病院側の負担がほとんど無くなったので普及して来ております。
なお、元の10,700円はブロムシンガー社の製品価格から設定されておりましたが　既にブロムシンガー社もグローニンゲン社も日本市場から撤退しており現在はスエーデンのアトスメデカル名優社のみが輸入しているのが実態です。
実際の給付に関しては各自治体によって6カ月毎の横浜市とかそれぞれによって異なりますが　添付の各自治体の資料をご参照お願いします。
オランダの喉摘者団体の各無喉頭発声法の1976年から2003年の表で既に欧米ではシャント発声によって喉頭摘出後に発声が出来る様になってから退院するのが実態となっておりますが、日本はまだまだ病院は癌を取るだけであとの発声等は患者本人が対応するとの実態です
私自身が知ったのは2年間食道発声の練習をして電気喉頭で1年半過ごした後にロンドンでの患者交流会で皆さんがペラペラ喋るのを聞いて　帰国してから調べてシャントと分かりました。その後医師に聞くと皆さん知っているが病院が扱って無いので聞かれなければ言わないし、銀鈴会等のような患者会でも食道発声を他を見ないで練習しろとの考えで知っていても教えないのが大きな原因でありました。それで私自身は癌研有明病院で平成18年にシャントの手術を受けました。
　私は　患者本人に色々な発声法が有ってそれぞれにメリット・デメリットがあるので　患者が選択出来る様にとの思いから悠声会を立ち上げました。
　未だに手術をすると喋れなくなる為に手術をためらっている方も多いです。また、この病気は年寄りが多くて今更また手術をするのはいやとか　毎月費用が数万円掛かるのはやりたくない方も多いです。私の場合は元々ヘビースモーカーだったのでタバコ代と思えば月々の費用は何とも無いと思っておりました。
　悠声会は毎月例会を実施しておりますが　患者がお父さんで娘さんがホームページを見て例会に見学に数組来られますが　皆さん会員さんの発声を聞いてこれならお話しが出来ると実感を持たれるのか　帰るころには希望を持たれて朗らかな表情でお父さんに言いますと帰られます。
　シャント発声のデメッリトである人工鼻を日常生活用具として認めて頂ければその分もこれからの患者さんには経済的負担も軽減して　社会復帰にも貢献するのでお願いに上がっております。
　現状では取手市では当会の会員では重田さんお一人です。ちなみにほとんどの自治体では1か2人が対象の患者さんですので　自治体にとっての予算負担は大きなものではないと思います。特に将来この病気で手術される方に取ってはこの制度があれば　どんなに元気づけられるかと思います。次年度の予算に本件を是非とも検討して計上して来年度からの実施をお願いします。

なお、鈴木さんはフリーハンズと言って手を手を使言わないでもシャント法で発声出来るので少し喋って下さい。

鈴木さん（フリーハンズ）

　私も始めは手で押さえて喋っておりました。手術は4年半前で当時は仕事をしており現役でしたので喋れないと困りました。病状として既にステージⅣでしたので放射治療も抗がん剤も出来ないので全摘手術しかありませんでした。当時悠声会のホームページを見てシャント発声を手術の前提としました。それで術部が落ち着いた術後1ヶ月でシャントの手術をして直ぐに声が出て助かりました。ですので声が出ない状態はほんの1ヶ月程度で済みました。
　ただ手で押さえると電話の時にメモが取れないので困りました。それでシャントが慣れた後でフリーハンズに変えました。
　それと私は横浜市に住んでおり昨年から人工鼻の適用が拡大してフリーハンズも適用されて大いに助かっております。とてもありがたいです。

６．質疑応答

中根さん: 　人工鼻のアドヒーシブとカセットが月に20個というのはどうしてですか？
土田会長: 　患者によって使用量は異なります。仕事をする方はほとんど毎日変えると思います、出先で剥がれると喋れませんし外出先での貼り換えはとても難しいですから。特に初心者は数が多いですが、慣れれば大体20枚程度で一ヶ月は過ごせるとして　それ以上は個人負担としてお願いしております。ただ　人工鼻以外にも使用しなくてはならないものもありますので　各自治体には利用の拡大をお願いしております。
中根さん: 　人工鼻は　シャント法以外の方も使うのですか？
土田会長: 　気管孔の方は使った方がよろしいのですが　シャント発声の場合はこれが無い喋れないのと直接気管孔を押さえるのは衛生上も悪いし鼻の役目の温度・湿度の保持とかフィルター機能等も有って埋め込み型発声補装具のシャント発声に限定して認定のお願いをしております。
高野さん: 　私は　食道発声法で喋っております。先ほど会長がご説明した食道発声法は食道に空気を自分で取り入れてゲップの要領で100ｃｃ程度の空気を逆流させて発声しますが　自分の呼吸と発声とを同期して発声しないと文章にならないので会話にならないので習得が難しいのです。どんなに早い方でも年の単位で時間が掛かることが一番のデメリットで　現役の方が仕事を続けるには難しい点が有ります。シャント法はその点　肺の空気（数千ｃｃ）を使えるのでほとんどの方が直ぐに喋る事が出来　社会復帰に時間が掛からない事が最大のメリットです。
土田会長: 　喉頭摘出手術でも喉頭のみの場合と下咽頭の手術が有って　下咽頭の場合は空腸を移植して食道を再建していると元々の食道を使っている単喉摘と条件が違って　やはり衝動発声には食道再建には難しいのが実態です。発声補装具のプロテーゼもプロヴォックスⅡが開発されてから　交換が簡単になり普及が進んだ点もあります。数か月毎の交換は医師が行いますが　ほんの数分で外来で出来る様になっております。以前は交換だけでも入院が必要な時期もありました。
　食道再建では時々元の腸の動き蠕動運動を勝手に始めると無論喋れなくなる時があります。
重田さん: 　私も食道再建ですが　特に食事の時には蠕動運動が急に始まって喋らなくなるので　食事の時は側に電気喉頭を準備しておいて　始まると電気喉頭で喋る様にしております。
土田会長: 　その辺りは承知しておりますので　我々も9月初めまでの７～8月に精力的に陳情を各自治体にお願いしております。今週日曜に月例会がありましたが　その際にE-テレのデレクターの方が見学に来られて喉頭摘出後の患者が声を取り戻すことを来月中旬に番組をしたいとのことでしたので　ひょっとすると来月中旬には放映されるかもしれません。それと先日新潟に患者交流会に行った時に現在新潟大学で喉頭摘出者の女性の声を取り戻す装置を開発しているがまだ大き過ぎて半分以下にする必要があると。でもそうやっていろいろと技術が進歩して開発されるのは我々にとって楽しみです。
　今後の患者さんが全摘手術をしても術後に声を取り戻せ　しかも経済的に余り負担にならないと分かれば手術に対してもその後の社会復帰にも大いに役立つと思いますので　是非とも来年度予算に本件を認めて頂く様にお願いします。
中根さん: 　日常生活用具として笛式喉頭がありますが　これは使っているのでしょうか？
土田会長: 　一般にはタピアの笛と言っております。気管孔にピッタリとくっつけて他方を口に咥えて発声する道具です。でも関東の方では現在ではほとんど使っている方はいなく、関西で極少人数の方が利用していると聞いております。やはり人前では衛生的にも芳しくないので　ほとんど今は無いと思って頂いて良いと思います。
　喉頭摘出手術をすると声が出ないだけでは無く、熱い物が食べられない、辛い物も食べられない、啜る事も難しい、うがいが出来ない等の不便な点がありますが　シャント法ですと空気を充分に使えるのでこれらの事が大体慣れれば出来る様になります。
　今年旭川市に陳情に行った際には北海道ＴＶがその陳情風景を撮って夕方ニュースをして放映して呉れました。ＮＨＫのＥテレで来月17，18日20時から30分で喉頭摘出者の関係の番組が放映予定です。出来れば見て頂きたいと思います、我々も出演します。
中根さん: 　この近くの自治体ではどの辺りに患者さんがいますか？
土田会長: 　茨城県では岩井市、桜川市、など4名が会員としております。それと近隣としては柏市、松戸市等に居ります。
中根さん: 　色々な自治体での認定に掛かる期間はどのくらいでしょうか？
土田会長: 　数年間陳情してもなかなかの所もあれば　始めにご説明した常陸太田市の様に自治体から資料請求が有ってそれに基づいて認定して呉れた所もあり　千差万別です。どちらかと言うと小さい自治体の方が住民との距離が近いせいか認定も早めに決まる所が多いです。反対に政令指定都市の様に多いな組織で区から上がってくる要望等に応えるところは概して対応が冷たく遅いです。今年も政令指定都市として静岡市、浜松市、大阪市、神戸市、札幌市、さいたま市等に陳情して今年は全国で17か所にお願いしております。
　患者本人が自分ことなので陳情がやり難いと言われることが多々ありますが　私からは今後の患者さんにこの制度があればどんなに役に立つか大きな影響力があるので　これは自分の為だけではなく　将来の患者の為になるのでどんどん陳情して実現してほしいと激励しております。
中根さん: 　これまで食道発声をしていた方が今後シャント発声に変える方は多いのでしょうか？
土田会長: 　結論から言えば　ほとんど居ないでしょう。これから摘出手術をされる方がシャントを前提としてされる現役の方が多いと思われます。私の友人で悠声会も手伝って貰っている方が食道発声を5～6年やっていて医師とも相談して「それだけ食道発声で喋れるのならそのまま食道発声をしては」と言われたと。でもその方は悠声会での皆さんの大きな声を聞いて今後の人生を考えてシャントの手術を受けました。その後は大きな声での発声が出来る様になって顔色も良くなり何事にも積極的になり　「やって良かった」と言っておりますが　その様な方は極々少ない例と思われます。
鈴木さん: 　埋め込み式の発声補装具（プロヴォックス）の交換は生命保険の対象ではないのです。始めて気管と食道の間に穴を開ける手術は手術ですから生命保険の保険対象ですが　それ以降の交換は手術ではないので健康保険の対象ですが生命保険の対象ではありませんので　ついでながら申し述べます。
鈴木さん: 　本日は詳しくお話しを伺ってありがとう御座います。取手市としても我々から上司へ報告を上げて検討させて頂きます。ですのでこの場では何とも申し上げられませんが検討する事はさせて頂きます。本日はどうもありがとうございます。
土田会長: 　各自治体は9月には翌年度の概算予算を策定すると聞いておりますので　我々も8月中に陳情をして来年の予算に入れて頂き来年日常性達用具として実現をお願いしております。ご検討の上予算措置をよろしくお願いします。我々はこの様な声なので　今日はわざわざ会議室までご準備頂きありがとう御座いました。

以上