Q&Aよくある質問 |
Q1.喉頭を全摘出(以後、喉摘)するとどういう状態になるのでしょうか?
A1.呼吸はすべて気管孔を介して行われます。
特別な場合を除いて、空気は鼻や口を通りません。
飲食物は喉を通って食道から胃へと送られます。
このことから、
1.
手術前と同じように発声できなくなります。
2.
嗅覚が低下します。(鼻腔に空気が入っていきにくいので)
3.
熱いものがフーフー吹いて冷ませなくなります
4.
麺類をすすって食べられなくなります。
5.
重いものが持ち上げられなくなります
6.
痰が多くなったという気がします。
7.
鼻呼吸ができないので湿った空気を吸えなくなり、
空気中のちりやほこりを取り除くことができなくなります。
8.
緊急時の人工呼吸は気管孔からのみとなります。 |
Q2.人工鼻(HMEカセット)とは何ですか?
A2.喉摘後は鼻を介さず気管孔からのみ呼吸しているので、
人工鼻(HMEカセット)を使うことによって吸気時に加湿、加温、除塵ができ鼻機能を補うことができます。現在日本で多く使用されている人工鼻はスウェーデンのアトス社が製造しているHMEカセット(Heat
and Moisture Exchanger cassette)です。呼吸抵抗をかけることで排痰がスムーズになり肺のリハビリテーションにもなります。
さらに、嗅覚リハビリテーションや呼吸体操も取り入れると理想的です。
技術情報ページ参照
HMEカセット |
|
Q3.人工鼻(HMEカセット)を使うと呼吸が苦しくなりませんか?
A3.最初は少し苦しく感じる場合もありますが、だんだんと慣れてきます。
HMEカセットのハイフロー(スポンジの目の粗いもの)から使い始め、
慣れてきたらHMEカセットのノーマル(スポンジの目の細かいもの)
に交換しましょう。
ハイフロー ノーマル |
|
Q4.人工鼻を使っていて苦しくなったときはどうすればいいですか?
A4.HMEカセットをアドヒーシブの穴の部分からゆっくり引っぱって
はずせば大丈夫です。呼吸が落ちついたら再度取りつけてください。
HMEカセットとアドヒーシブ |
|
|
Q5.人工鼻の使い方はむずかしくないですか?
A5.人工鼻(HMEカセット)を設置するには、まずアドヒーシブを気管孔に
貼りつけます。このアドヒーシブの中央に人工鼻(HMEカセット)をはめ込んで使用します。人工鼻(HME
カセット)を設置した時点で加湿、加温、防塵が始まります。
アドヒーシブを装着した状態 |
さらにHMEカセットを装着した状態 |
|
Q6.アドヒーシブを貼ると皮膚がかぶれたり、かゆくなったりしませんか?
A6.アドヒーシブでかぶれることは比較的少ないのですが、放射線照射後や
かぶれやすい方用にオプチダームというアドヒーシブもあります。
かかりつけの病院の医師、言語聴覚士、看護師等にご相談ください。
初めてアドヒーシブを貼る場合には少し刺激を感じる方もいらっしゃいます。皮膚が敏感な方やかぶれやすい方はアドヒーシブを貼る前に、下準備としてスキンプレップを使うとこれらのトラブルを避けられることが多いようです。
クリック⇒技術情報をご参照ください。 |
保護膜パックは皮膚に塗布すると無色透明な皮膜を形成します。
皮膚と粘着性のテープやフィルム等の間に皮膜をつくることにより
皮膚表面をおおい、はがす時の機械的刺激を低減します
|
|
|
Q7.もうお風呂に入ることはできないのでしょうか?
A7.気管孔から下は湯船にはいることができます。
シャワーエイドを使用すれば頭からシャワーを浴びることができます。
シャワーエイドを使用するためには、アドヒーシブが貼りつけられることが条件です。
まず、アドヒーシブが貼れるように気管孔のお手入れをきちんとマスターすることからはじめてください。
|
Q8.アドヒーシブがすぐはがれてしまいます。何かいい方法はないでしょうか
A8.お話しするときに、力を入れすぎて発声するとアドヒーシブがはがれやすいようです。呼気を効率よく上手に使って、リラックスして話すよう心がけましょう。アドヒーシブとHME
カセットを装着後すぐに話さないということもアドヒーシブをはがれにくくする効果があるようです。
|
Q9.飲食物が漏れてむせて困るのですが、どうしたらいいでしょう?
A9.漏れには様々な原因があります。漏れがひどい場合には至急、
かかりつけの病院、医師にご連絡ください。急に漏れたときに対応
できるプロヴォックスプラグというものもあります。これを使用することで直ちに漏れを止めることは
できますが、この間発声することはできません。
|
Q10.プロヴォックスを装用するメリットはなんでしょうか?
A10.最初のQ1.にあったことを思い出してください。
喉頭を全摘出するとどういう状態になるのでしょうか?
1.
手術前と同じように発声できなくなります。
2.
嗅覚が低下します。(鼻腔に空気が入っていきにくいので)
3.
熱いものがフーフー吹いて冷ませなくなります
4.
麺類をすすって食べられなくなります。
5.
重いものが持ち上げられなくなります
6.
痰が多くなったという気がします。
7.
鼻呼吸ができないので湿った空気を吸えなくなり、空気中のちりやほこりを取り除くことができなくなります。
8.
緊急時の人工呼吸は気管孔からのみとなります。
プロヴォックスを使用する事により、これらの問題点が緩和されます
1.発声ができるようになります。
2.嗅覚を再度獲得することができます。(嗅覚リハビリ併用)
3.熱いものをフーフー吹いて冷ますことができます。
4.麺類をすすって食べることができます。(チュルチュル程度)
5.やや重いものを持ち上げられます。
6.痰が少なくなります。
7.温度・湿度を保った空気で呼吸することができ、粉塵を取り除くことができます。
8.は変わりませんが、プロヴォックスのメリットは
たくさんあるようです。 |
|
Q1急に声が出せなくなるのですが、どうしたらいいでしょうか?
A1肺からの呼気がボイスプロテーゼの中央を通過して、食道へ流れ咽頭が振動することによって発声できます。
このボイスプロテーゼの中に痰などがたまると、急に発声できなくなります。大きな咳払いをしたり、大きな声を出すとこれが取れるようです。もしこの操作をしても発声できないようでしたら、ブラシ掛けをして痰を除去しましょう。
まずボイスプロテーゼの中央からブラシを挿入し(バルブが開くまで)前後にシャカシャカと動かします。その後、ブラシを一方向にまわして引きぬきます。ブラシをティッシュペーパーで拭きとります。ティッシュペーパーに痰がつかなくなるまでこの操作を繰りかえします。
ボイスプロテーゼのバルブが開くまでブラシを挿入する。
|