シャント発声における基本

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シャント発声における基本的ケア

 

基本的なケア

プロヴォックスを上手に使うためには、まず基本的なケアをマスターすることが大切です。シャント発声はこの基本的なケアができればほぼ成功です。この基本的なケアをマスターして快適なシャント発声をめざしましょう。

これからお話するのは

   1.アドヒーシブのはがし方

   2.気管孔ケア

   3.ブラシ掛け

   4.アドヒーシブのはりつけ方

の順でお話していきます。

 

ケア製品用語

基本的なケアをお話しする前に、まずケア製品の用語に英語や造語?が使用されているので、用語の説明から始めたいと思います。

剥離剤パック      アドヒーシブをはがす時に使用します。

保護膜パック   皮膚の表面に保護膜を作り、粘着性を高めるために使います。

                

HMEカセット   Heat加温   Moisture:加湿    Exchanger交換カセットで

                 ノーマル:普通と、ハイフロー:交流量の2種類があります。

                 HMEカセットの中にスポンジが見えますが、

                ハイフロー➔ きめの粗い、  ノーマル➔  細かい。

 

アドヒーシブは粘着性のとか、接着の意味があります。このアドヒーシブには形状の違いで8種類ありますが、主に使われているのは、

フレキシダームとオプチダームのオーバル:楕円型の2種類です。

1、アドヒーシブのはがし方

アドヒーシブはていねいにゆっくりとはがします。気管口周囲の皮膚を傷つけないようにしてください。慣れてくると、バリッとはがす方が多いのですが、プロヴォックスを長く上手に使うために、是非優しくはがしてあげてください。

 

@剥離剤パックをアドヒーシブの全面に塗ります。すべてのアドヒーシブではありませんが、ほとんどの方はフレキシダームを使っていることを前提でお話しています。このフレキシダームの表面には小さい孔が開いており、こうすることで、はアドヒーシブの表面からもしみ込んでいきます。

A次にアドヒーシブの端を少し捲ってを剥離剤パック入れるようにしてていねいに剥していきます。

Bこの剥離剤パックは油性なので、このまま貼るとアドヒーシブの粘着性を弱めますから、この後必ずウエットティシュなどでふき取ってください。

2、気管孔のケア

 

 

@吸引機で痰を取り除いている方も多いと思いますが、大きないい咳ができるようになると、上手に痰を喀出できるようになります。

 

A気管孔の周りにくっついてかたまってしまった痰(痂皮・カヒ)などはピンセットで取り除きます。

 

3、ブラシ掛け 

 

@ ボイスプロテーゼにプロヴォックスブラシを挿入しクリーニングします。この時に大切なのはボイスプロテーゼのバルブが開くまで挿入することです。ブラシがバルブに当たることによって、バルブの開閉部分についたカンジダや汚れなどを効率よく取り除くことができます。ボイスプロテーゼの寿命はこのバルブの開閉によって決まります。バルブがうまく作動しないと漏れが生じボイスプロテーゼの交換が必要となりますので、食事の後や発声できにくいと感じた時はブラシ掛けすることをおすすめします。プロボックスブラシの先端には丸い突起があって、食道の後壁にあたっても傷つかないようになっています。

 

Aそしてブラシを前後に動かします。

 

B次にブラシを時計回りでも反時計回りでもどちらでもかまわないので、1方向にまわし、取り出します。ブラシについた痰などをティッシュペーパーでふきとります。

Cブラシについてくる汚れがひどい場合はこの操作を何度かくりかえします。

4、アドヒーシブの貼りつけ方

@アドヒーシブを貼り付ける前に、皮膚を保護するためと気管孔の気密性をより高めるために、保護膜パックを気管孔の周囲に塗布します。この時、 保護膜パックは揮発性で鼻やのどに刺激があるので、塗布前に深呼吸をし、息を止めてから塗布します。息を止めている間に手で軽く煽いで乾かし、この間は手早く行います。

 

A皮膚が弱い方はオプティダームという肌色のアドヒーシブを使います。

これは親水性なので、シャワーエイドとは一緒に使ってはいけません。

 

しばらくすると皮膚も慣れてきてフレクシダームを貼れるようになる方が多いです。フレクシダームを貼ることができれば、シャワーを浴びることが可能になるので、最低限ここまでもっていけるように努力するのがベストだと思っています。

このオプティダームは貼りつける前に両面を手で擦って熱を伝えると貼りつきやすくなるので、何度も擦って柔らかくさせます。貼りつけた後も何度も指でなでるようにして粘着性を高めてください。

 

B気管孔の下側のふちとアドヒーシブの穴の下側が重なるように貼りつけます。貼りつけてからすぐに発声しないようにする方がはがれにくいようです。

 

保護膜パック塗布後3〜4分よく乾燥させると、アドヒーシブの持ちはよくなります。乾燥させると、この写真のようにピカッと光ります。

繰り返しますと

●剥離剤パックを使ってアドヒーシブをやさしく剥がします。

●気管孔の周囲をウェットティシューでふき取ります。

 (剥離剤パックは油性なので、油分をふき取るため)

保護膜パックを塗って3〜4分乾燥させます。

●アドヒーシブを貼り付けます


  気管孔の下側のふちとアドヒーシブの穴の
  下側が重なるように貼りつけます

    ボイスプロテーゼが長すぎる場合

今まではよく声が出ていたのに、徐々に出にくくなったなどの場合は、ボイスプロテーゼのサイズが合っていない可能性があります。術後、粘膜の腫れがひいてくると、気管食道壁が短くなり、ボイスプロテーゼが長すぎるということになります。こういう場合は主治医に相談して、サイズの確認をしてもらってください。ボイスプロテーゼのサイズが長すぎる場合には水が漏れる可能性もありますので、どのサイズのボイスプロテーゼを使っているか知っていることも大切です。これらがマスターできましたら、悠声会の上級者のアドバイスを聞いてください。素晴らしい耳より情報が盛りだくさんです!

 

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