15回有明病院患者交流会
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        第15回プロヴォックス患者交流会報告

 

 今年の夏は記録的な猛暑といわれておりましたが、やっと少し過ごしやすくなってまいりました平成22918日、癌研有明病院4階会議室において、第15回プロヴォックス患者交流会が開催されました。今回はプロヴォックスの製造元であるスウェーデンのアトス社より、社長のトミー・ヘッドバーグ氏ほか2名が、日本における患者様同士の交流会を見学させていただくために参加いたしました。

 

まず始めに世話役の土田さんより、悠声会の活動報告がございました。悠声会の会員数は現在71名となり、今年の6月にはNPO法人(特定非営利活動法人)として正式に認定を受けることができました。

 

喉摘者の肺機能のリハビリテーションに効果的な器具である人工鼻につきましては、障害者日常生活用具として給付が受けられるように地方自治体に対して働きかけを行っており、町田市と八王子市では来年度の予算化の話が進んでいるとのことです。一昨日は渋谷区役所を訪問し、来年度の予算化に向けた要望をお伝えになったそうです。今年度から世田谷区で人工鼻に関する給付が認められたことをきっかけに、喉摘者の負担が少しでも軽くなっていくことを期待しております。

 

また患者会の輪の広がりとして、癌研有明病院や東京医科大学八王子医療センターに加えて、今月9日には新潟県立がんセンターにおいて新たに患者会が発足いたしました。その際に悠声会からも3名の方が参加されたそうです。悠声会としては、今後も喉頭摘出者の福祉増進のための活動を更に推し進めていくとのことです。

 

赤木先生からは便利なツールとしてiPadをご紹介くださいました。筆談をする際に、画面をなぞって文字を書くとそれが向き合っている相手に見やすいように表示されるというソフトや入力した文字がそのまま音声になるソフトなどが無料で使えるというお話には、会場から驚きの声が上がりました。

 

近況報告の中で、Hさんはプロヴォックスに痰が詰まってしまうことがあるといったお悩みを抱えていらっしゃるそうですが、ご自身にとって働くことは生きがいであり、プロヴォックスを使用して、再び働くことができるようになったことが本当にうれしいということを生き生きと語っていらっしゃいました。

 

気管孔が小さくなってしまうというご相談がCさんからございましたが、福島先生は気管孔の状態によってサイズの異なるラリボタンを使い分けてみるのが良いとアドバイスをされておりました。

 

土田さんは、最近プロヴォックスを使い始めたKさん、Tさん、Iさんに、言語聴覚士の先生に発声指導をしていただくと今よりももっと上手に会話ができるようになると思うので、月に1度言語聴覚士の先生による発声指導を行っている悠声会への参加を強く呼び掛けていらっしゃいました。

 

福島先生からアトス社に対して、欧米人と東洋人では体の大きさ、気管の太さが異なるため、現在のプロヴォックスでは特に日本人の女性の場合肉芽ができやすいので、東洋人向けのもう少し小さいサイズのプロヴォックスを作ってほしいとのご要望がございました。

 

日本と欧米の違いとして、食道再建に関してオランダでは発声を優先させるため前腕皮弁による再建を行う傾向があるのに対して、日本では食べ物の通りがよく、術後の合併症のリスクが低い遊離空腸再建を優先する傾向がある点が大きく異なるということもおっしゃっておりました。

 

日本では、保険医療制度を含めたコストの問題がプロヴォックス普及の障害の一因となっているのに対して、スウェーデンでは喉摘者の95%がプロヴォックスを使用し、その費用は全て国が負担してくれるそうです。福祉国家として知られているスウェーデンと日本では、喉摘者を取り巻く環境が大きく異なることを痛感させられました。

 

今回でこのプロヴォックス患者交流会も15回目を迎えることとなり、発足から現在に至る間に、喉摘者を取り巻く環境も徐々に改善されてきている部分もございます。今回土田さんからお話がございました通り、新潟においても患者交流会が発足したことは大変素晴らしいことだと思います。

 

今後もこういった患者様の輪が全国に広がり、患者様同士が力を合わせることによりもっと大きな変化が起こることを心より願っております。

 

 第16回プロヴォックス患者交流会のお知らせ

時下、皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

この度、癌研有明病院 頭頚科にて喉頭摘出術をお受けになり、

手術後にプロヴォックスにご興味のある患者様を対象に

16回交流会を開催することとなりました。

皆様の社会復帰を促進することを、目的としています。

情報交換や憩いの場となると思います。

ご家族もご一緒に是非おいでください。

 

 

予定日時:2010年12月 4日(土)

患者会:13:00〜15:00

場所:癌研有明病院 1階セミナー室

   ※当日、正面玄関に案内図をご用意致します

 

 

問い合わせ先

  癌研有明病院 頭頚科外来 

  TEL 03-3520-0111代表)   頭頚科外来 内線1260

                   又は 福島啓文 内線7082 

 

 ご質問等ございましたら、お気軽にお電話にてお問い合わせ下さい