21回有明病院患者交流会
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21回プロヴォックス患者交流会報告

平成24317日(土)、がん研有明病院4F会議室にて、第21回プロヴォックス患者交流会が開催されました。今回の参加者は患者さん、ご家族、医師、看護師を含め、総勢34名。大盛況でした。

銀鈴会でシャント発声教室が新設されることになり、銀鈴会からの見学者がありました。国内最大の喉摘者団体である銀鈴会でも、少しずつ、シャント発声が認知されてきていることはとても喜ばしいことです。

恒例により、悠声会幹事の土田さんによる、近況報告、悠声会の活動報告がありました。

NPO法人として悠声会の主たる活動のひとつ、人工鼻(HME)の障害者日常生活用具給付認定についての陳情活動状況につき説明がありました。新たな成果として、患者さん2名が在住する東京都豊島区、10名が在住する横浜市で、平成24年度よりの認定が決まったとのこと。

他の地方自治体でも陳情活動を強化してそうですが、自治体によっては、福祉担当者がシャント発声を知らない場合も多く、陳情活動自体が、シャント発声を知らしめる啓蒙活動となり、プロヴォックスのさらなる普及に結びついている印象を受けました。

次いで、悠声会が6月に計画している河口湖への研修旅行のお誘いがありました。患者さん同士が一夜を寛いで過ごし、さまざまな体験、発声のコツなどの情報を分かち合い、親交を深める素晴らしい機会です。定員にはまだ余裕があるので、ぜひ参加いただきたいとのことです。お申込は幹事の土田さんまでお願いします。

悠声会副理事長の岩瀬さんからも、悠声会の活動につき説明がありました。毎月、プロヴォックスを使う仲間が集い、流暢に話をするのを聞いていると、むくむくと競争意識が芽生え、自分ももっと上手になりたいという、強い意欲がわいてくるので、悠声会定例会は切磋琢磨の非常に良い場となっているようです。

近況報告のなかで、とくに印象に残る話をいくつかご紹介します。

会社経営者のMさんは7年前にプロヴォックスの手術を受けました。手術翌日に会社へ電話をすると、Mさんの肉声を耳にした従業員が大歓声を上げ喜んでくれたことが今でも忘れられないとのことでした。

Iさんは、自分では気づかなかったのだけれど、友人から最近声がよく出るようになっていると思いがけず褒められたことがとても嬉しかったこと。それでも、今の状態に満足することなく、カラオケも楽しめる程度まで頑張りたいと決意表明をされていました。

フリーハンズ愛用者であるKさんは、手で気管孔を押さえることなく、不自由なく話をされていますが、外で仕事をしている人を対象に、月1回、フリーハンズをうまく使いこなすコツを、マンツーマンで、コーチされています。会社を経営され、休みもなく働いていらっしゃるKさんが、多忙なスケジュールの合間を縫って、他の患者さんの役に立とうとされる熱意には敬服するばかりです。

そのKさんが感じていらっしゃることは、最近の患者さんの上達が著しく早いということ。きっと、交流会や悠声会などの活動を介して多くのシャント発声についての情報が広く行き渡るようになってきたのもひとつの理由からもしれません。次回は、気管孔を密閉する、ベースプレートの貼り方についてです。

最近プロヴォックスの手術を受けたSさんの話にも胸打たれました。シャント発声を知りたくて、前回の交流会に初めて参加し、プロヴォックスの手術を少しでも早く受ける決意をされたとのこと。術後初めて声が出た瞬間、心の底から押さえきれない喜びが込み上げ、満面の笑みとなったとのこと。少しでも多くの人にプロヴォックスを検討していただきたいとおっしゃっていました。

回を追うにつれ、参加者が増え、意見交換が活発になり、不安や疑問を解消して、笑顔で会場を後にされる交流会参加者の姿を拝見しますと、この患者交流会の開催意義の重みをひしひしと感じます。

最後に、がん研有明病院で手術を受けられた赤木家康先生は、悠声会でも、副会長として活躍されています。下咽頭癌を患い、治療のために手術を受け、喉頭を失い、その後、プロヴォックスを用いて声を取り戻し、整形外科医師として診療に復帰するまでのご自身の体験を綴った、異色闘病記、「癌!癌!ロックンロール」は、がん研有明病院内の売店でも販売されております。ぜひ、手にとってご覧下さい。読者が励まされ、力づけられる好著です。

では、次回の交流会でお目にかかりましょう。