22回有明病院患者交流会

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マスコット第22回プロヴォックス患者交流会報告

平成24年6月2日(土)、がん研有明病院4F会議室におきまして、第22回プロヴォックス患者交流会が開催されました。今回は医師、看護師、患者様、ご家族、合わせて43名の方がご参加され、会場に用意してあった椅子が足りなくなるほどの大盛況でした。

まず土田様より悠声会の近況報告として、月刊情報誌「がんサポート」6月号に土田様の記事が掲載されたというお話がございました。その記事の中で、土田様は日本ではまだまだ知名度の低い気管食道シャント法の普及と国や自治体による支援を強く訴えていらっしゃいました。この記事をきっかけに、一人でも多くの方にシャント発声の存在と喉摘者を取り巻く環境を知っていただき、公的支援が広がっていくことを期待しております。

その後いつものようにご出席された方々による近況報告があり、皆様それぞれ印象的なお話をされておりました。

沖縄からいらっしゃったSさんは、今後フリーハンズにチャレンジしたいとおっしゃっておりました。今でも十分コミュニケーションを取ることはできていらっしゃいますが、更に上を目指して新しいことに取り組もうという姿勢には敬服の外ございません。

Cさんはプロヴォックスを使い始めてから数年経ちますが、今でもプロヴォックス留置手術の翌日に声が出たときの感動は忘れられないそうです。また新たに参加された方々へのアドバイスとして、できるだけ早い段階からフリーハンズを使用してそれに慣れていくことが大切であるということもおっしゃっておりました。

千葉からいらっしゃったKさんからは、声が出やすい時と出にくい時があるというお話がございました。多くの方が同じような経験をされていらっしゃるかもしれませんが、声が出にくい時はついつい力を入れすぎてしまい、余計に声が出なくなってしまうそうです。ご自身でも、声が出にくい時ほど静かにゆっくりと発声しなければならないことは認識されていらっしゃいますが、その場になるとどうしても力が入ってしまうそうです。悠声会や患者交流会に参加する時くらいしかお話をされず、ご自宅ではあまり会話をしないので、それほどお困りではないとおっしゃっておりましたが。

また今回もプロヴォックスを検討されている方、留置手術を予定されている方やそのご家族が多くご参加されました。そのうちW様のご家族の方は、参加されている方の多くが生き生きとご自身の声でお話されている姿を見て大変驚くとともに、皆様のようにプロヴォックスを使い、頑張って話せるようにしていきたいとおっしゃっておりました。

近況報告の後、ご出席された方からいろいろなご質問がございましたが、福島先生が一つ一つ丁寧にお答えくださいました。

カンジダ菌を付着しにくくする最善の方法としてブラシを使用した弁のクリーニングがございますが、弁に対してブラシ部分をまっすぐ挿入しないと弁の付け根を破損してしまう場合があること、弁をこすりすぎてはいけないことなどをお話されました。

プロヴォックスの漏れに関する質問では、原因として最も考えられるのはカンジダ菌の付着ですが、それ以外にも嚥下時の陰圧により弁が開きやすい方がいらっしゃること、プロヴォックスの食道側のフランジにはカサ状の部分がございますが、プロヴォックスの上下が逆になったからといって必ずしも漏れやすくなるわけではないことなどをご説明されました。

会の終盤に、プロヴォックスの使用を検討されている方のご家族から、プロヴォックスを入れてもしゃべれないケースについてのご質問がございました。福島先生は、咽頭収縮筋が痙攣してしまうと声が出なくなるので、その場合は麻酔の注射で対処するとおっしゃっておりました。他にも空腸が細い場合や、移植した空腸の蠕動運動が発声の邪魔をすることもありますが、だんだんコツがわかってきて、ほとんどの方は発声できるようになるとのことです。

最後に、赤木先生から一言。

 

「案ずるより産むが易し」

 

あれこれ思い悩むよりもまずやってみることの大切さをこの時改めて感じました。

この患者交流会も常に前進し続け、一人でも多くの方の役に立つ取り組みであり続けてほしいと切に願っております。