有明病院患者交流会

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第14回プロヴォックス患者交流会報告

 昨日の雨とは打って変わり、正に五月晴れという言葉がぴったりの陽気の中、平成22年6月19日、第14回プロヴォックス患者交流会が癌研有明病院4階会議室にて開催されました。合わせて29名の方々にご参加いただき、会場は人が溢れるほどの大盛況でした。今回は6名の看護師の方が参加され、一丸となったチーム医療で患者さんたちを支えていらっしゃることを強く感じました。 まず始めに、幹事の土田さんから、飯田橋で毎月開催されている、悠声会の近況報告がございました。本年2月に東京都庁に提出した悠声会のNPO法人化申請につきましては、一部申請書類の訂正等もございましたが、近日中には正式に認可が下りる見込みであるとのことです。

 悠声会で毎年実施している海外研修活動として、4月末にオランダを訪問したときのお話もございました。オランダの喉摘者患者会は会員数1200名、支部が10か所もあり、日本とは比較にならないほど規模が大きいことに驚かされたとのことです。

 なによりも印象的であったのは、喉摘者団体の患者さんたちは、話すことができるかどうかではなく、どれだけ健常者と同様の生活を送ることができるかを目指している事実でした。オランダの喉摘者は退院時に既に不自由なく会話ができる発声能力を獲得しているため、患者会では発声練習を行うことはないそうです。

 また同国の医療制度では、ある医療機器を使用することで患者さんのQOLが向上したり社会復帰促進されたりすることが明らかになれば、保険適用とすることが当然の政策とされているとのことです。確かに、病者として医療を一方的に受けるだけで、社会資源を費消するか、社会復帰を果たし、社会活動を行い、納税し、社会を支える側に立つのかとでは、経済的にも大きな違いがあるように思えます。

 頭頸部外科のヒルガー教授自らのご案内で、見学させていただいたオランダがんセンターでは、医療体制が充実しているだけではなく、家族ぐるみで患者さんを支えることに主眼が置かれている点が日本と大きく異なると感じられたとのことです。今後もオランダの患者会と交流を深めていくことができれば良いですね。

 前回の患者交流会に初めてご参加されたIさん。その時はまだプロヴォックスをお使いになっていらっしゃいませんでしたが、プロヴォックスを使用して、ELではなく自分の肉声で子どもたちに柔道を指導したいという思いから、手術を決断されたとのことです。ご本人はまだプロヴォックスを使い始めたばかりで調整中とおっしゃいましたが、手術後3週間あまりでしっかりご自身の声でお話をされていらっしゃいました。話すということは社会との関わりを持つことであり、そのためにもっと上手に話したいともおっしゃいました。その前向きな姿勢には頭が下がるばかりです。

 また、Cさんは海外旅行へ行かれたり、使用中のフリーハンズHMEが外れてしまったりした時のために、携帯電話のストラップを使った工夫についてお話下さいました。Cさんは特にご家族に対して、どんな些細なことやくだらないことでも、どんどん積極的に話すことをいつも心がけていらっしゃるそうです。たくさん話すことによって発声が上達し、それにともなって元気になり、表情も明るくなっていらっしゃるという印象を抱きました。

 福島先生には今回も、大変お忙しいなか、交流会の始めからご参加いただき、皆さんからのご質問にお答えいただきました。また、発声ばかりでなく、人工鼻を使用して、肺機能のリハビリテーションを行っていくことも大切であるとのお話を下さいました。

 今回の患者交流会では、医療スタッフの方々やご家族など、多くの人の支えが患者さんのリハビリにとってとても大切であるということを改めて感じました。この患者交流会が、一人でも多くの患者さんの支えとなり、今後ますます発展することを期待致します。

次回9月18日(土)の患者交流会では、プロヴォックスの製造元である、スウェーデンのアトスメディカル社からトミー・ヘッドバーグ社長が来日し、日本における患者会の活動を見学に参ります。

プロヴォックスについて、普段疑問に思うことなどを直接ご質問いただく機会もあるかと思います。皆様ぜひご参加ください