有明病院患者交流会
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第36回プロヴォックス患者交流会報告

 平成28年6月24日(金)、がん研有明病院4階会議室で、第36回プロヴォックス患者交流会が開催されました。
まず始めに、認定NPO法人悠声会会長でもある土田さんからご挨拶がありました。初めて参加の方も何名かいらっしゃることから、このプロヴォックス患者交流会が始まった経緯をお話しされました。土田さんは、平成18年にプロヴォックスを留置されましたが、当初は不安や悩みも沢山あったそうです。このような思いを患者同士で共有できる場があれば良いなと思い、医師の福島先生に相談し、平成19年に初めての患者交流会が開催されました。同じように不安や悩みを抱えた患者さんや、そのご家族が多数参加されたそうです。続いて、人工鼻(HME)を障害者日常生活用具給付として認定されている自治体が88か所となり、政令指定都市だけでも6か所が認定されているというご報告がありました。

今回も、ご参加頂きました方々のお話しを幾つかご紹介させて頂きます。

 今回初めて参加された埼玉からお越しのTさんは、今年1月にプロヴォックスを留置されたそうで「発声はまだまだよちよち歩きの状態です」とおっしゃっていましたが、声も大きくはっきりとしたお声でとてもプロヴォックスを留置されてから半年程には思えないほどお上手なお声でお話しされていました。喉頭摘出後声を失ってからは人と会うのを避けていたそうですが、プロヴォックスで声を取り戻してからは、ご友人やご家族との会話を存分に楽しんでおられるそうです。

 Kさんは、マイク無しで十分部屋中に聞こえる大きな声で、にこやかにお話しされました。電話でお話をしている時に、相手が聞き取ってくれないとカッとなってしまうこともあったそうですが、最近は「芸能人のつんくさんと同じ病気なので聞き取りにくかったらごめんなさい」と言ってからお話しするようにしているそうです。そうすると、聞き手は熱心に聞いてくれ、聞き返されることもほとんどないとのことです。
 お母様がプロヴォックスを留置しようかどうか悩んでいるというSさんは、参加されたみなさんの発声がとてもお上手なことにとても驚かれていました。お母様は空腸再建をしていらっしゃるので、どんな発声になるかということを心配しておられましたが、空腸再建でもお上手な発声の方もたくさんいらっしゃることに安心されている様子でした。

 江東区からいらっしゃったAさんは、とてもはっきりとした大きなお声でお話しされていました。今年4月から、江東区でも日常生活用具給付として人工鼻(HME)が認められるようになり、今までもったいなくて人工鼻(HME)を洗って繰り返し使っていたそうですが、日常生活用具給付のおかげで、本来の使用法である使い捨てで使用するようになったそうです。

  Cさんは、プロヴォックスを留置してから7年ほどの大ベテランです。とてもよく通る明瞭な発声でお話しされていました。特に発声練習のようなことはせず、お仕事やご家族との会話などの実践を積み重ねて来られたそうです。

 今回もお忙しい業務の合間を縫って福島先生がご出席くださり、ご参加の皆様からの質問にひとつひとつ丁寧に答えてくださいました。嗅覚を取り戻すための訓練があると聞いたけれど、その方法を教えてくださいというご質問には、喉頭摘出後においがわからなくなってしまうのは、鼻にあるにおいを感じるセンサーまで空気が通らないからなので、喉頭摘出者がにおいを感じる為には、鼻に空気を流すように唇を閉じたまま舌と下顎を上下させる動きを繰りかえす、NAIM法という方法を練習教えてくださいました。この方法で、7〜8割の人がにおいを感じることができるようになるとのお話しでした。

第36回プロヴォックス患者交流会も、福島先生から非常に有効で分かり易いアドバイスがもらえたり、喉頭摘出者という同じ境遇の方々同志で悩みを共有したり出来、とても有意義な会となりました。

 次回は 10 月 21日(金)の開催予定です。皆様にお目にかかれますことを楽しみにしております。このプロヴォックス患者交流会ではプロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味のお持ちの方はどなたでもご参加頂けます。沢山のご参加お待ちしております。