有明病院患者交流会

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第45回プロヴォックス患者交流会報告

 2018年10月12日(金)、がん研有明病院新棟1階レセプションルームで、秋晴れのもと第45回プロヴォックス患者交流会が開催されました。今回は21名の喉頭摘出者の方とそのご家族が集い、各自の近況報告とお悩みに関する意見交換が行われました。

 最初に、悠声会会長の鈴木さんより、プロヴォックス患者会が、がん研有明病院の医師、看護師、言語聴覚士と悠声会前会長土田さんの協力の元で立ち上がった会であること、この会が、シャント手術を受けた方の意見交換・お悩み交換の場であることが説明されました。さらに、最近逝去された元横綱の輪島さんが、喉頭摘出後5年間発声できず悩んでいらした例をあげ、シャントにすればお悩みも軽減できたのではと述べられました。

 鈴木さんから他に、10月27日夕刻に、以前BS朝日で放送された喉頭がんの治療に関する番組の再放送のご案内がありました。番組では、がん研有明病院における喉頭がん治療が紹介されるとともに、患者交流会にご出席されている目黒区のMさんが、シャント発声でご自身の声を取り戻す様子も紹介されています。

 今回は福島先生がご参加くださり、多くのアドバイスをいただきました。まずプロヴォックスの水漏れの原因として、弁の隙間にカンジダ菌が繁殖し、弁の開閉を妨げて、漏れの原因になりやすいとの説明がありました。カンジダ菌による水漏れ対策として、フロリードゲルという、カンジダ菌の繁殖を防ぐ薬をブラシにつけて、プロヴォックスのブラシ掛けをし、お手入れをする方法が紹介されました。

 さらに、プロヴォックスの中からの漏れには、プラグが有効とのご説明がありました。プラグは、プロヴォックスにはめる栓のようなもので、喉摘者さんご自身でブラシの持ち手の方に掛けてプロヴォックスにはめて使用します。旅行中や外出時など、病院にすぐ行けない時に持っていると、急なプロヴォックスの中からの漏れに対処でき、安心です。漏れは肺炎につながることから、漏れたら早めの対処と早めの来院が必要とのご意見も福島先生からいただきました。

 そのほかに喉摘者の方のお役に立つ製品のご紹介がありました。まずご紹介されたのは、「プロヴォックスルナ」という、夜間に使用する人工鼻とアドヒーシブのセットです。ルナのアドヒーシブは肌にやさしい素材でできており、肌荒れで困っている方には良いのでは、とおっしゃっていました。続いて、シャワーを浴びる時に永久気管孔に水が入りにくくする「シャワーエイド」をご紹介いただきました。シャワーエイドを使うと、頭からシャワーを浴びることができて便利だそうです。会の参加者に使用の有無をうかがったところ、約9割の方がシャワーエイドを使用されていました。

 今回もご参加頂いた方のお話しを紹介いたします。
 銚子市からおこしのKさんは、前回に続き2回目のご参加。昨年の11月に喉頭摘出手術を受け、空腸再建後、シャント手術を受けられました。Kさんは市会議員をされていて、最近うれしかったこととして、議会で一般質問をし、22分間ずっと話し続けられたことをご紹介されました。今の悩みはマイクを使わないと大きな声がでないことで、まだ宴会で会話するのは難しいと感じていらっしゃるそうです。喉摘後の年金、生命保険の手続きについて、ご自身の知識とご経験を参加者の方々に紹介してくださいました。

 千葉からお越しのIさんは、喉頭摘出してから大分お時間が経っているそうですが、ご自身の会話力に自信がもてず、もっと努力をしなければ、と考えていらっしゃるそうです。しかし福島先生からは、「努力しなくてもよいのがシャント発声ですし、自然な呼気で大分上手になられていますよ」とのコメントをいただきました。Iさんはプロヴォックスを入れていることに違和感をお持ちで、「プロヴォックスがもっと改良されればよいな」とお考えです。最近発売されたものの中では、夜用人工鼻のルナがお気に入りで、「確かに夜寝る時楽です」とおっしゃっていました。

 第 45 回プロヴォックス患者交流会は、シャント手術を受けられた患者様、検討されている患者様、そのご家族、医療従事者が、共に日ごろのお悩みを解消し、近況報告や意見交換をする良い機会となりました。

 次回は 2019 年 1 月 11 日(金)、会場は研究棟1F 吉田富三記念講堂にての開催予定です。
プロヴォックス患者交流会では、プロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味をお持ちの方も、どなたでもご参加頂けます。沢山の方のご参加をお待ちしております。