有明病院患者交流会
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第49回プロヴォックス患者交流会報告

 2019 年 10 月 11 日(金)、がん研有明病院研究棟1 階吉田富三記念講堂にて、台風 19 号が近づく中、第 49 回プロヴォックス患者交流会が開催されました。台風接近のためか、普段より少ない9名の喉摘者とそのご家族の方が集い、各自の近況報告とお悩みに関する意見交換が行われました。今回も、福島先生も交え、参加者が少ないながらも、活発な意見が交わされました。

 最初に、悠声会会長の鈴木さんより、お話しがありました。日常生活用具給付対象自治体への活動は最近大きな進展がないとのご報告がありました。一方、消費税が 10%になり人工鼻などの購入費用も 10%に増えること、言い方を変えると、自治体の給付金額がその分目減りすることへの懸念が示されました。これを踏まえて、悠声会では各自治体に給付金額の見直しをお願いする準備を進めているとのことでした。また、今回の消費税増税で消費者の負担は増えますが、キャッシュレス支払いを選択すると支払額が割り引かれる場合があり、鈴木さんご自身もコンビニでキャッシュレスで支払い、商品を割引額で購入できたことを共有してくださいました。

 今回も福島先生にご参加いただき、参加者の方々からの質問にアドバイスをいただくことができました。

 まず、フリーハンズを試したけれど、仕事に必要な大きな声が出ず疲れる、指押さえをした方が良い声が出てフリーハンズが使いこなせない空腸再建の喉摘者さんとその奥様からご相談がありました。

 福島先生からは、空腸再建の方は、食べやすさを優先して太めに再建するが、声を出すためには実は細い方が適しているとのお話がありました。移植した腸が太すぎて腸壁が振動しにくい場合は、指で押さえると音源ができ、話しやすいとご説明がありました。フリーハンズ発声の改善には、複式呼吸など言語聴覚士を交えたリハビリが有効であるとのことでした。

 次に、プロヴォックスの交換までの期間については、喉摘者さんの条件により異なるとのお話がありました。腸を移植している方は腸液がプロヴォックスに絡むため弁への影響がおこりやすく、漏れやすくなりがちな一方、胃管吊り下げの方は、胃酸が出ることにより、漏れの原因となるカンジダ菌がつき難い印象とのことです。また、プロヴォックスが留置されている状況によってもプロヴォックスの交換期間が異なるようで、食事が滞らないところにプロヴォックスが入っている方は、食残が残りにくく持ちも良い傾向があるが、プロヴォックスの少し下が狭窄していて食事がたまりやすい方は、交換までの期間が短いこともあるそうです。プロヴォックスを入れて少したつと、その方の交換のタイミングが分かってくるので、こうした違いを理解した上で、漏れる少し前に交換するのが大切とのアドバイスがありました。

今回も、参加された喉摘者さんの声をいくつかご紹介させていただきます。

 品川からからおこしの S さんは、カラオケをすることが、リハビリになり、話す力の向上に役立っているそうです。S さんは自営業をされていますが、喉摘されてから、力仕事ができなくなり、最近は主に請求書作成など事務作業をされているそうです。今は消費税が10%になったことから、請求書フォーマットの変更を試みているそうです。

 目黒からお越しの M さんもお仕事をされていますが、声が出る時と出ない時があり、台風の影響等で仕事が忙しくなると、声が出にくくなると感じるそうです。ただ、再発もなく、元気で食欲もあることには満足されているそうです。最近は喉摘前にされていた資格取得の勉強を再開したそうで、少しずつ数年後の予定を立てたり、仕事の計画も考えられるようになってきたそうです。

 今回が初参加の M さんは、奥様が喉摘され、今後プロヴォックスを入れることを検討されています。シャント発声の参加者の方が話しているのを実際に聞き、シャント発声で話すイメージが持てたそうです。

 第 49 回プロヴォックス患者交流会は、シャント手術を受けられた患者様、検討されている患者様、そのご家族、医療従事者が、共に日ごろのお悩みを解消し、近況報告や意見交換をする良い機会となりました。

 次回は 2010 年 1 月 10 日(金)、会場は研究棟1F 吉田富三記念講堂にての開催予定です。プロヴォックス患者交流会ではプロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味をお持ちの方も、どなたでもご参加頂けます。沢山の方のご参加をお待ちしております。