有明病院患者交流会
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第48回プロヴォックス患者交流会報告

 2019 年7月 12 日(金)、がん研有明病院研究棟 1 階吉田富三記念講堂にて、あいにくの雨の中、第48 回プロヴォックス患者交流会が開催されました。25名の喉頭摘出者の方とそのご家族が集い、各自の近況報告とお悩みに関する意見交換が行われました。今回は中国からお越しの喉摘者さんや言語聴覚士を目指す学生さんの参加もあり、いつもに増して活発な意見が交わされました。

 最初に、悠声会会長の鈴木さんより、お話しがありました。年号が令和に変わりましたが、世の中の衝突やトラブルが増えたような気がするとのお話しがありました。悠声会では引き続き喉摘者が使用する機器を日常生活用具給付(日生具)対象とするよう自治体に働きかける活動を行っていくこと、現在 300 を超える自治体に認可していただいていることの報告がありました。

本日は福島先生にご予定があり、参加が懸念されておりましたが、なんとか参加が叶い、参加者の方々からの質問にアドバイスをいただくことができました。

 まず、永久気管孔が大きくなり、このまま大きくなり続けると、合うラリボタンのサイズがなくなるのでは︖という質問に対しては、家ではラリボタンを入れないで気管孔を休ませ、人前に出る時にラリボタンつけると、気管孔の拡大が抑えられるとのアドバイスがありました。さらに、永久気管孔は際限なく大きくなるものではなく、最大サイズの18mm のラリボタンも合わない方は、日本人では少ないとのご意見でした。また、永久気管孔のサイズに比べて大きめのラリボタンを装着していると、気管孔が炎症を起こして脹れてしまうことがある、との注意喚起もありました。

 次に、84歳とご高齢のお父様にシャント発声が可能でしょうか︖という娘さんからの質問に対しては、福島先生が診ている方では、90歳でシャント発声の方がおられるとのお話がありました。この方の場合、シャント手術のずいぶん前に喉摘手術をされていて、電車で通院できるぐらい元気な方だそうです。ご相談者のお父様の場合は、これから喉摘手術を受ける予定とのことで、手術後にどれだけ体力があるかを見て、まず電気喉頭で意思疎通が維持できるか確認してからシャント発声の検討をするのもひとつの方法である、とのご意見でした。

今回も、参加された喉摘者さんの声をいくつかご紹介させていただきます。

 茨城県からおこしの I さんは、シャント発声にしてまだ5か月ですが、今年の6月に初めて市役所で日生具の申請をしたそうです。その際、シャント発声機器メーカーの方が、茨城県まで来て申請の助言をしてくれて助かった、とおっしゃっていました。Iさんは申請の仕方で悩んでいたそうで、こうしたサポートが有難かったそうです。

 Iさんの最近の悩みは、プロヴォックスの入り口に付着した痰が取れないことで、受診時にするような吸引機を使った吸引が自分でもできないか︖と考えているそうです。これに対し、他の参加者から、病院の吸引機は強力だから吸引できるが、市販の吸引機では難しい。それよりはピンセットで丁寧に取るのがお勧めとのご意見がありました。さらに、最近はピンセットも先端が曲がったもの、丸くなったものなど色々種類があり、ネットで検索すれば買えるとのアドバイスがありました。

 目黒区からお越しのWさんは、今回中国からの参加者がお見えであることから、香港の喉摘者との交流経験を話してくださいました。当時香港ではシャント発声が普及しておらず、Wさんがシャント発声で話すのを、みなさん興味深くご覧になっていたそうです。Wさんは当初食道発声を試したそうですが、小さい声しか出ず、意思疎通が難しいため、シャント発声にしたそうです。最近、話さないと声質が悪くなる自覚があるので、こうした患者会で積極的に話す機会を持つようにされているそうです。

 第 48 回プロヴォックス患者交流会は、シャント手術を受けられた患者様、検討されている患者様、そのご家族、医療従事者が、共に日ごろのお悩みを解消し、近況報告や意見交換をする良い機会となりました。

 次回は 2019 年 10 月 11 日(金)、会場は研究棟1F 吉田富三記念講堂にての開催予定です。プロヴォックス患者交流会ではプロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味をお持ちの方も、どなたでもご参加頂けます。沢山の方のご参加をお待ちしております。