2020年 1 月 10 日(金)、がん研有明病院研究棟 1 階吉田富三記念講堂にて、節目となる第 50 回プロヴォックス患者交流会が開催されました。2007 年 4月にスタートした本会ももうすぐまる 13 年となりました。今回も、福島先生も交え、活発な意見が交わされました。
最初に、悠声会会長の鈴木さんより、お話しがありました。昨年 10 月に消費税が 10%になり、人工鼻などの購入費用が消費税分値上がりになりました。悠声会では、自治体に向けて給付基準額見直しの依頼文書を約 100 か所の自治体に送付したそうです。自治体からの回答によれば、増税と同時に金額を見直した自治体もありましたが、ほとんどの自治体は変更の予定がなく、検討するとの回答でした。鈴木会長から参加者の方に、お住いの市区町村に各自で聞くのも改善のきかっけになるとのお声がけがありました。
続いて鈴木会長から、喉頭摘出関連の本「新しい声と生きる~がんで失った声をシャント発声で取り戻す~」発売のご案内がありました。この本はメディカルレビュー社から 2 月発刊予定です。山梨大学の増山敬祐先生とがん研有明病院の福島啓文先生が編集に携わり、言語聴覚士、看護師、喉摘者様からのシャント発声に関する経験・知見も紹介されるそうです。これから手術を受ける方・ご家族の方にお勧めの本です。
今回も福島先生にご参加いただき、参加者の方からの質問にアドバイスをいただくことができました。
アドヒーシブを貼る時シリコーングルーを使った方が良いでしょうか?との質問には、シリコーングルーを使うと貼りつきは良いが、皮膚への影響は大きくなること、皮膚が赤くなっている時にはオプティダームを使った方がよいとのアドバイスをいただきました。特に喉摘した方は、永久気管孔周りの皮膚の感覚がないことがあり、アドヒーシブをどんどん貼り化膿してしまうことがあるそうです。こうしたことから、シリコーングルーは肌の様子を見ながら使った方がよいとのご意見をいただきました。
また、プロヴォックスからの漏れに関する質問には、早く漏れる方はブラシで弁を壊す傾向があるとのご指摘がありました。正しいブラシがけは、プロヴォックスに対して平行にブラシを差し込みくるくると回して、平行に戻すそうです。一方、弁につくカンジダ菌が、弁が閉じるのを妨げ、漏れにつながるケースに関しては、カンジダ菌予防として食事の後水を飲む、乳酸菌を摂取しカンジダ菌を排除する方法を勧めてくださいました。カンジダ菌に効果のあるフロリ ードゲルをブラシにつけてプロヴォックスの手入れをするのもお勧めだそうです。
今回も、参加された喉摘者さんの声をいくつかご紹介させていただきます。
A さんは最初お声の調子が悪くお嬢様がお話しをされました。A さんは下咽頭癌で昨年 1 月に喉摘手術を受け、放射線治療後、7 月にプロヴォックスの手術を受けたそうです。手術の翌日から看護師さんのサポートで声が出て感激したそうです。喉摘で声が出なくなると家族みんな頭ではわかっていましたが、実際に出なくなると、コミ ュニケーションに困ることがあったそうです。会の最初は声が出なかったAさんですが、最後はお話しできるようになり、「声が出るようになり毎日が楽しい」と大きな声で語ってくださいました。
T さんもシャント発声ですが、発声は練習中で奥様がお話しをされました。T さんは、抗がん剤と放射線治療を受けた後、喉摘手術を受け、昨年 8 月プロヴォックスの手術を受けました。今のお悩みは人工鼻を付けるアドヒ ーシブがうまく貼れず、上手に発声できないことです。参加者の方から、ひとつの方法としてラリボタンがある。先生に相談して試してみては?とのお声がありました。また、ご自身で喉のどの位置をどう押さえればよい声が出るか研究するのも大事、とのご意見もありました。
第 50 回プロヴォックス患者交流会は、シャント手術を受けられた患者様、検討されている患者様、そのご家族、医療従事者が、共に日ごろのお悩みを解消し、近況報告や意見交換をする良い機会となりました。
次回は 2020 年 4 月 10 日(金)、会場は 病院棟 4階 会議室3 にての開催予定です。プロヴォックス患者交流会ではプロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味をお持ちの方も、どなたでもご参加頂けます。沢山の方のご参加をお待ちしております。 |