有明病院患者交流会
ホーム ニュース 定例会 技術情報 悠声会会員の皆様の声  悠声会資料 写真館

第47回プロヴォックス患者交流会報告

 2019 年4月 12 日(金)、がん研有明病院新棟1階レセプションルームにて、4月にしては少し肌寒い曇り空の下、第 47 回プロヴォックス患者交流会が開催されました。今回は、22名の喉頭摘出者の方とそのご家族が集い、各自の近況報告とお悩みに関する意見交換が行われました。

 最初に、悠声会会長の鈴木さんより、お話しがありました。
年号が、平成から令和に変わりますが、年号が変わ っても、喉摘者の皆様をサポートする活動を地道に行うこと、特に、喉摘者が使用する機器を日常生活用具給付(日生具)対象とするよう、自治体に働きかける活動に注力するとのお話しがありました。活動のかいあり、現在、302 の自治体が認可し、全国 20 か所の政令指定都市のうち、16 か所で認可を得たことなど、詳しくご説明いただきました。
今回は、ご多忙な中、福島先生もご参加いただき、喉摘者のご家族からのお悩みにアドバイスをいただきました。今回初参加のKさんは、3 月に喉摘された富山在住のお母様に、シャント発声を勧めるべきか悩んでいます。まだお若く、ご夫婦の円滑なコミュニケーションの為にも、シャント発声にした方がよいと思いつつも、お住まいの地域で、プロヴォックス交換などの十分なケアが可能なのかを懸念しています。福島先生からは、遠方にお住まいの場合でも、がん研でシャント手術を受ける方がいること、交換は地元で行う方もいれば、年3・4回、がん研に来て交換される方もいらっしゃる、とのご説明がありました。今、全国にプロヴォ ックス交換可能な施設が約200あり、シャント手術可能施設も、約 100 あるとの説明があり、地元でのプロヴォックス交換を希望する場合は、交換施設を紹介することも可能とのお話しがありました。

 さらに福島先生から、プロヴォックスの漏れ、ブラシがけのしすぎで、弁を壊して漏れを誘発することへの注意喚起がありました。プロヴォックスからの漏れは、肺炎につながる可能性があり、漏れている時には、すぐに医療機関を受診するようにとのアドバイスがありました。また、高齢になると咳反射の機能が弱くなり、漏れの症状に気づきにくいこともあるため、痰の増加など、異変を感じたら、早期に受診することの大切さのご説明がありました。一時的な漏れ対策として、プロヴォックスに栓をする器具「プラグ」をご紹介され、外出時や旅行時に「プラグ」を常時携帯することで、安心して飲食できるとのご説明がありました。
今回も、参加された喉摘者さんの声をいくつかご紹介させていただきます。

 茨城県からお越しのIさんは、シャント発声にして、まだ2か月ですが、とても良いお声の持ち主です。ご家庭の事情でお声が必要で、シャント手術を受けたそうです。
Iさんは、悠声会のホームページで、この「プロヴォックス患者会交流報告」をご覧になり、喉摘後の生活の参考にされているそうです。シャント発声にすれば鼻がかめることを知ったり、公共交通機関の割引制度を利用するなど、報告書の情報を活用して、生活改善につなげているそうです。

 目黒区からお越しのMさんは、喉摘後の一時期、パートタイム勤務になったそうですが、シャント発声で声を取り戻し、週5日勤務の正社員に戻ることができたそうです。肩こりや、首の筋肉の硬直といったお悩みはあるものの、お仕事をこなしながら趣味のラジコンを楽しむなど、元の生活を取り戻しつつあります。

 島根県隠岐の島からお越しのYさんは、喉摘者向け機器への日常生活用具給付適用が、隠岐の島町で認められたことを、うれししそうに報告されました。当初、隠岐の島町では喉摘者向け機器に日生具が適用されていませんでした。しかし、Yさんの粘り強い活動が功を奏し、ついに認められたそうです。西日本は日生具が認められていない自治体が多いそうですが、今後、もっと多くの自治体で適用されるように、自分にできることはしていきたい、と力強くおっしゃっていました。

 第 47 回プロヴォックス患者交流会は、シャント手術を受けられた患者様、検討されている患者様、そのご家族、医療従事者が、共に日ごろのお悩みを解消し、近況報告や意見交換をする良い機会となりました。

 次回は 2019 年7月 12 日(金)、会場は研究棟1F 吉田富三記念講堂にての開催予定です。プロヴォックス患者交流会ではプロヴォックスでお話ししている方やご家族はもちろん、プロヴォックスに興味をお持ちの方も、どなたでもご参加頂けます。沢山の方のご参加をお待ちしております。