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K大学医学部付属病院 耳鼻咽喉科 入院日記 (1991.7.1〜1991.7.17) M・T |
7/1(月)小雨のち曇り 74.3Kg 先週の今日3回目のオペをして一週間が経過し、後一週間の我慢。 今日も蒸し暑そう。 昼食前にネオスのAさんがお見舞いに来てくれる。 驚くことに、Aさんの弟さんがここK大整形外科の教授をしているそうです。 4時半ごろ教授から突然呼び出され、マーゲンチューブを抜いて発声練習をしろと言われる。 ところが全く声が出ない、大変ショックである。 このまま声が出なかったらどうしよう、心配である。
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7/2(火)晴れ 74.1Kg 今日は久し振りに青空が見え気持ちの良い朝を迎えた。 しかし、昨日の声が出ないまま何も処置せずに終わったことが心に残り、何か釈然としない。 授受回診である、多分昨日見たので簡単に終わるのだろう。 案の定1分程度終了。 今日は晴れたので屋上にでも上がり虫干しでもしよう。 近日中に抜糸である。 今日も一日暇である。
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7/3(水)曇り 74.1Kg 今朝洗濯した後に、洗髪をしてもらった。 大変に気持ちよかった。 以前にも洗髪をしようかと看護婦に言われたが断っていたが、これからはお願いしよう。 午後から同室の一人が退院していった。 午後の処置で約半分の抜糸をした。 後4日後には全部抜糸をする予定。
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7/4(木)曇りのち大雨 73.9Kg 今日はMさんの奥さんに、以前から依頼していた竹を持ってきてくれたので、ナースステーション前に七夕を飾りました。 ここの病院は、公立のため患者関係者から一切物品を受け取ってはいけない規則になっており、今回の竹も看護婦から拒否をされたが、いろいろと交渉しやっとOKが出ました。 出た理由は、患者の中に小さな子供がいて、子供の夢をかなえてやりたいと主張したのが良かったのだと思う。 とにかく病院で初めてのことなので、どの様な短冊が飾られるか少々心配でした。 ところが竹を飾ったとたん、いろいろな病棟から短冊を持って子供が飾りに来てくれました。 竹は短冊で一杯になり、垂れ下がるようでした。
話は変わりますが、現在食べているマーゲンチューブ食のカロリーを看護婦さんに教えてもらいました 朝 400カロリー 昼 600カロリー 晩 600カロリー
流動食 1日 900カロリー 普通食 1日 1900カロリー だそうです。
これだと現在マーゲンチューブ食なのでダイエットには持ってこいの食事です。 しかし雨がよく降ります。 そろそろここの病院に入院して約2ケ月が過ぎようとしていますが、ここの病室で一番古くなりました、予想外のことです。 入院する前は、入院して早く退院の予定が、J医大と同じ古株となってしまいました。 今日は晩御飯の前に処置室に呼ばれボイスプロテーゼを外し、カテーテルを挿入しようと試みたが入らない。 30分程度試行錯誤したが入らなかった。 仕方なくダミー栓を途中まで挿入し、明日改めてバイパスを探すとの。 探してバイパスが塞がってしまった場合は今一度オペを行うとのこと。 助けて、何で俺だけが何度も痛い目にあわなければならないのか、俺には神様いないのかな、本当に落ち込みます。 俺はこのオペに向いていないのかなー・・・・・・・・ 何回もオペしてもまた塞がるのでは・・・・・・・ 喋れない状況だと家族、仲間、同僚、会社に迷惑を掛けるので死んだ方がましかもしれない。 死んだ方が楽だよなー・・・・・・ 明日バイパスが見つかって欲しい。
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7/5(金)雨 73.6Kg 今日も朝から雨、よく空に水分が有るものだと感心する。 夜1時半を掛けてバイスを探したが、結局見つからなかった。 来週の月曜日から口からの食事が始まる。 火曜日か、水曜日に前回2回目と同じオペをするそうです。 今日K先生からの説明は、食道は常にペシャンコになっていて、食道側の穴が見つからないので、また、鼻からチューブを入れ食道側に穴を確認し そこに再び穴を開けるオペをするとのこと。 全く俺はついていない男である。 現在世界で一番惨めな男と思っている。
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7/6日(日)晴れ 73.6Kg 久し振りの晴れ、俺の心は落ち込んだ雨模様。 早朝洗濯しに屋上へ、久し振りの太陽を見ると眩しい。 土曜なので病室は静かである。 午後自宅に手紙を出す。 内容は世界一惨めな状況と、オペ日を伝える。 Mさんの奥さんが、マンシングのバーゲンに行くと言うので、赤いポロシャツを頼む。 価格は4千円だった。
今日は診察が無いようだ、オペまで無いのかな・・・・・・ |
7/7(日)晴れ 73.4Kg 入院して何回目の日曜日だろう。 アーゲンチューブでの食事は今日で終了。 来週の早い日にオペをしてもらうことを依頼する。 今日の体重73,4Kgはダイエットとしては成功。 看護婦から、オペは多分水曜日になりそうと告げられる。 今日は日曜日一日静かな日であった。 でも、ここの病院には、東京方面から私と同じオペを受けに来る人が多い。
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7/8(月)晴れ強風 73.1Kg 空は快晴だが、風が強い。 今日同室のI氏が、私と同じボイスプロテーゼを装着するオペを受けるため8時半に病室を出て行った Iさんは、大阪で喉頭摘出のオペを受け、タビデの笛で会話していたそうだが、新聞記事を見て来たそうだ。 先週から右奥のブリッジが外れそうなので歯科の予約を取っていたが、今日診察を受けた。 明日の予約を取り、ブリッジを外してみるそうだが、取り外しが不可能なら切断して再作成することになるとの説明。 夕方になってもマーゲンチューブを抜いてくれない。 看護婦によると、K先生が出張で帰ってくるのが午後8時ごろとのことである そこでS先生に抜いてもらうように依頼。 他の先生立会いで抜いてもらう ようやくフリーになった。 これなら昼前にでも依頼しておけばよかったかな、まー良いか。 夕食から全粥とおかずは普通食、おかしいと思いませんか、久し振りなのでゆっくり食べる。
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7/9(火)晴れ 73.0Kg 今日は教授回診日と歯科の予約が入っている。 まず教授回診、教授は再オペをするが、あまり焦りなさんなと言う。 12日ごろになるかと木西先生と話している。 終わって歯科へ、右奥のブリッジを外そうとしたが外れてくれない。 切断すると説明を受けるが、私から作り変えるとどの位の期間が必要かとの質問をした。 答えは3週間程度掛かる。 私から3週間も入院していないのでダメだと断る。 昼食後ナースから呼び出しで処置室に行くと、いきなり教授が今ここで軽いオペをすると言う。 K先生も加わる。 最初は細いバルーン付チューブを挿入して探したが見つからず。 結局2回目と同じ極太のチューブを挿入し、ファイバースコープを入れオペを行う。 約1時間半、今回は麻酔無しでオペしたので、とても痛く、苦しく、辛かったが2回目よりは気は楽だった。 でも今回で本当に最後にしたい。 終了後、歩行して病室に帰るがヨロヨロしている感じがした。 しかし、ここの病院のコミュニケーションはうまく行っている。 オペ後若いS(I先生の代わり)がベッドまで来てくれて、今日のオペについての説明と、私からの質問、苦情を聞いて帰る。 直ぐにK先生が回答と今後のことを説明に来る。 J医大では考えられないことだ、例えば麻酔無しでオペしたら必ず苦情を言っていたし、予告もなしにオペしたらそれこそ私はおおむくれだ。 何故ならば、J医大では患者とのコミュニケーションは全く無いのが実情であった。 7時前にK先生に呼ばれオペの結果を見る、結果良好。 明日または明後日に太いカテーテルに入れ替えボイスプロテーゼを入れるとの説明。 今日はホットしたのとオペ疲れで身体がだるい、早く寝る。
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7/10(水)晴れ 73.2Kg 昨晩寝る前にコーヒーを飲んだせいかなかなか眠れなかった。 隣のA氏が深夜に着替えている、また失禁でもしたのかな。 また午前中A氏が花瓶の水を取り替えようとして花瓶を落とし割ってしまった。周りは水浸し、そこで私がモップを持ってくるからそのままにしておきなさい、と言ってモップを取りに行っている間に、 A氏は新聞紙をその上に載せ足で拭いています。 全く迷惑を掛ける人だ。 今日はオペの翌日、何も無い。
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7/11(木)晴れ 73.5Kg 同室のM氏に退院の予定が出た。 またM氏から、フリーハンドという両手が使える器具があるそうで、昨晩M氏は装着したそうである。 本当に両手が使用できるのはありがたいが、M氏の話だと、その器具を装着すると、運動が出来ない、痰の出し方に問題、咳き込んだとき大変に苦しい等の問題点が有るそうだ。 それと大変に高価らしい。 でも是非私は試してみたい、後日教授に話してみよう。 今日も晴れて暑そうである。 午前中の処置でカテーテルを太いのに交換して終了。 午後は暇な一日。
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7/12(金)曇り 72.6Kg 今日は朝からどんよりした曇り空、大変蒸し暑い。 今日の処置は、カテーテルを10号から16号まで太くし気管孔のバイパスを広げる。 明日の午後にボイスプロテーゼを装着してみる予定と告げられる。 M氏が、明日テスト外泊とのこと。 今日は一日中蒸し暑かった。
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7/13(土)晴れ 73.0Kg 昨晩雷鳴がしていたが雨は降っていない様子、今日は朝から快晴である。 今日午後に待望のボイスプロテーゼを装着した。 最初はきつくなかなか挿入できなかったが、お蔭様で挿入でき、恐る恐る発声してみると、見事に軽く発声が出来ました。 今回私は成功することを信じて頑張った甲斐がありました。 本当にうれしいです。 記念すべき日である。
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7/14(日)晴れ 73.0Kg 昨日挿入したボイスプロテーゼで恐る恐る発声してみる。 声は出るが、空気が胃のほうに入りゲップやお腹が張ってしょうがない。 午後K先生にこのことを伝えると、先生は仕方ないが慣れるので一時期の辛抱と言う。 そこで先生から、これだけ発声できれば17日に退院の予定しておいてくださいと告げられる。 うれしいのと、心配とで複雑な心境である。
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5/15(月)曇り 73.6Kg やはりお腹が張りおならが出るのと、ゲップがひどい、日常生活には少々きつい。 先生に相談するが一時の辛抱と言う。 夜8時過ぎに教授自ら私のベッドへ出向いてくれる。 声の様子を見て、この声はもっと良くなると言われる。 大変うれしいが、お腹の張り、ゲップ等の話をすると、直ぐに慣れるので大丈夫だと言われる。 そして、両手が使用出来るフリーハンドをお願いすると。 今年中に必ず使用できるようにしますからと頼もしい答えを貰いました。 結果17日に退院が決定しました。 後に自宅、会社等に電話をすると、皆が元の声にそっくりと言われ、おめでとうと祝福される。
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7/16(火)雨 73.6Kg 今日は朝から雨、教授回診の日である。 教授から、これだけ声が出ていれば、もう社会復帰は太鼓判と言っていました。 その後K先生と話しをし、退院後の来週、どうしても器具の交換等で家内と一緒に通院して欲しいとの話があり承諾。 来週、通院時に、神鈴会に行く予定だ。 午後から退院の準備。
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7/17(水)曇り 未測定 今日待望の退院である。 5月7日に入院して、40日間の入院生活であったが、4回のオペを受けたので実質より長く感じられた。 A教授、K先生I先生、S先生及び看護婦さんに感謝いたします。 また、お見舞いに来て頂いた皆さん、会社の皆さんに本当に感謝いたします。 発病以来、一番心配をかけ、苦労させた家内に本当にご苦労さまでした。 今後も宜しくお願い致します。
今回K大学医学部付属病院で感じたことは、教授をはじめスタッフの皆さんが、私をどうにか喋らせてあげようとしてくださった気持ちが痛いほど感じられました。 そのため、幾度もの痛いオペに耐えられたと思います。
私の心構えが違うのか分かりませんが、J医大とここK大学では患者に対するアウターケアが全く違っておりました。 J医大時代には、担当医と少々信頼関係に問題が有ったが、ホローするスアタッフがいなかったことだと思います。 しかし、ここK大学では、教授が突然オペをした後に、必ずスタッフが私のベッドまで来て、不平、不満、質問等を聞き、必ず担当医又は教授自ら答えてくれることです。 これにより、教授及びスタッフとの信頼関係が深められたのだと感じます。
重ね重ね今回のスタッフに感謝いたします。 もう直ぐ退院手手続きが終わります。 来週またここに来るときには、もっと良い声で来ることを楽しみにしています。 最後に、今年中にはフリーハンドを使用して、現場復帰(営業)を必ずいたします。
これでK大入院日記を終わります。
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