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第25回 悠声会報告書 平成22年03月28日(日)13時〜15時 東京ボランティア・市民活動センター 飯田橋 セントラルプラザ10階B会議室 出席者:患者+家族同伴者 言語聴覚士:亀井先生、石川先生、相川先生、 参加者:35名
〔幹事・土田より〕 本日は、フリーハンズを使用してお話しします。手で押さえて発声するのは、気管孔の奥を刺激するので痰が多くなる、フリーハンズだと痰が少なく成るようです。話し解りますか、如何ですか?(解るよと皆さん拍手) 本日初参加の方は、静岡市からTさん、山形市からAさん、横浜市からAさん、 今月15日にプロヴォックスを入れたNさんです。後でお話しを聞きたいと思います。 報告事項が四つあります。 @ 世田谷区議上川さんとの連絡で世田谷区 の新年度予算が29日に決定となる。アドヒーシブとカセットが障害者日常生活用品として認定される事になります。これを元に他の自治体に働き掛けをして行きたいと思っています。 A 3月17日に八王子医療センターの「オオルリの会」に悠声会から5名参加しました。このオオルリ会が始まって丸一年になるのでボランティアにアンケートがあり、その結果がまとまればまた報告します。 B NPO取得の申請を都庁に2月25日に提出して受理されました。現在まで都庁の方から何の問い合わせもありません。書類は整っていると思いますので7月頃認証されると思っています。 C 5月30日の第27回悠声会に東大名誉教授の広瀬 肇先生に講演をお願いしています。広瀬先生は銀鈴会の理事で常任顧問ですので、喉頭摘出者に関しては良くご存じです。演題は「喉頭全摘出の諸問題」です。 本日の予定として、亀井先生からアンケート集計結果の報告があります。(この内容は悠声会HPに別掲載致します。) S.・Nさんから、嗅覚訓練器具の作り方を説明して頂きます。 その後、T・Iさんから嗅覚訓練に関する経験を話していただきます。
〔S・Nさん〕 嗅覚訓練器具の作り方ですが、これは荒井さんが手を加えて(HP)技術情報に載せて頂ける事になっておりますので、そちらを見て頂けばと思います。
〔T・Iさん〕 嗅覚テストを昨年10月に行いましたが、練習の効果は確かにあるようです。ホームページにある嗅覚の練習運動がありますがこれも効果的だと思いました。特に鼻から空気を吸い込んで口に一旦溜めて口から吐き出すことを繰り返すと鼻に空気が連続的に入って臭いがかぎやすくなりますのでお試し下さい。私はこれを食事の前にいつもやって臭いをかいています。
各自の自己紹介・近況報告 〔I・Aさん〕 あまり変化はありません。空腸移植なので時々蠕動運動が始まると話せませんが、暫く待って話し続けるようにしています。蠕動運動を止める薬もありますが、年中使うわけにも行きませんので、上手く付き合って行くしかないと思います。現在は週に6日は外来を見ており、手術もやっております。シャントでは健常者と違和感無く話し続けられるので良いと思いますが、食道発声でしたら声が小さいこともあり今のように仕事が出来ているかは疑問に思っております。先程フリーハンズは痰が少なくなると話がありましたが、確かにフリーハンズは少し大きめの呼気が必要なので肺胞が膨れて痰が少なくなります。 前回、シャントでは内緒話が出来ないとのお話しがありましたがフリーハンドでなく、手で押さえてであれば内緒話も出来ますので念の為に申し添えます。
〔S・Kさん〕 プロヴォックスにしてから3年になりますが、日常生活面や仕事でも全く普通通りに戻ったと思っております。日常のケアーは面倒と思う時もありますが、今後一生付き合って行かざるを得ないと思っております。痰については始めの2年間は手で押さえて話をしておりましたが、フリーハンズにして確かに少なくなりました。その他にメリットもデメリットもありますので、ご自分で検討されることが良いと思います。 今まで自分なりに経験もしておりますので多少は参考になるかも知れませんので聞いて頂ければなんでも知っていることはお話します。
〔H・Kさん〕 自分自身の名前が言い難く「カ行」ですので何時も苦労します。5年6ヶ月前に喉頭全摘出をして、3年前にプロヴォックスを入れました。当初はなかなか喋れないで1年くらいはつけたり外したりしておりました。徐々に慣れてきて、今はフリーハンズで小さな声で話しているのでスピーカーを使っております。 先程来食道発声の話がありますが、私も2年間銀鈴会に通いましたが、とうとう出来ませんでした。このプロヴォックスを入れました。食道発声の達成率が30%とのことですが、練習始めて自分を追い抜いていく人もおりましたが、途中から練習に来なくなる方も大勢いるので実際の達成率は10%位と私観では思います。
〔T・Iさん〕 昨年8月に全摘出とシャントを同時に手術しました。従って食道発声の経験はありません。赤木先生のブログを見させてもらって話をして決めました。食道発声の練習で時間が掛かれば仕事が続けられないことが決め手となりました。40日間くらい入院して、退院時には片言で話しが出来ました。マイクを使ってすぐに仕事に戻り会社での仕事がトレーニングとなりました。自宅に籠って奥さんとだけ話をする程度ですと、練習にならずになかなか上達しないのではないかと思います。今ではお陰様で普通の生活に戻っております。お風呂とか温泉とかで気管孔を気になさる方がおられますが、私は全然気にしないでシャワーエイドを付けて普通にシャワーも浴びて風呂にも入っております。
〔H・Kさん〕
T・Iさんと同じ大学病院で手術をしましたがたった2年でこうも違うのでしょうか。私の時は全くそのような情報がなく、 会社からも障害者枠でも会社に残れと言われましたが、2年経って会社は辞めました。
〔O・Nさん〕 この頃、お客さんと話をしていると「随分と発声が上手になったね」と言われると自分でも嬉しくなってしまいます。皆さんのお話は自分の練習などの参考になります。
〔Y・Aさん〕 埼玉から来ております。食道再建ですので当初から食道発声は出来ないと言われておりました。プロヴォックスを入れたらその時から声が出ました。現在、埼玉でリレーライフの理事をしております。今年埼玉でがん患者が集まる大会があるので、そのパンフレットを配りますので興味のある方は参加して頂きたいと思います。
〔S・Nさん〕 先程話したので少しにしておきます。 喉頭全摘出は1年2ヶ月前です。障害者になって良かった点は、公園なども無料で入れるし、鉄道運賃も100K以上は半額で乗れる。 仕事をしないで毎日が日曜日の生活をしております。
〔H・Aさん〕 仕事をしておりますが、お客様との名刺交換の時に片手しか使えないので困ります。それでフリーハンズを試そうと思っていました。これまではフリーハンズは痰が詰まって外れやすいのではと思っておりましたが、反対であると聞かされて驚いております。これで益々フリーハンズを練習しようと思いました。
〔Y・Hさん〕 八王子から来ております。関東地区にはプロヴォックスの手術をしてくれる病院が少ないので悠声会のホームページに手術可能な病院を掲載して欲しいです。それとケアーとかリハビリ関係の記事を充実して頂きたいと思います。
〔Y・Mさん〕 2月の例会でプロヴォックスの保険適用が出来ていないと聞いて、早速メールで厚生省に保険適用するように要請をしました。そうしたらすぐに「今後の行政の参考にさせて頂きます」との回答がありました。みんなでメールなどで要請すればそれなりに効果があるのではと思います。
〔J・Hさん〕 町田から来ております。3年半前に癌研有明病院で全摘出手術をして、昨年10月にプロヴォックスを入れて5ヶ月目になります。初めからフリーハンズでやっておりますのでカセットでは声が出せなくなっております。興奮して大きな声を出すとポロッと取れて高価なものですので落ちないように紐デモ付けたいと思っております。いつでも予備のものを持ち歩いていて交互に入れ替えて使っております。また始めからラリボタンを使っております。これは便利で水で洗えば良いので簡単です。私の場合は、話す回数を増やすためにくだらないことや冗談でも何でも喋ることにしております。言葉の練習ですので回数が多いほど上達すると思っております。会社でも家でもなるべく喋るようにしております。メモ用紙も不要になり、やって良かったと思っています。言葉のキャッチボールをどんどんやりましょう。銀鈴会も楽しかったのですが、2年半経っても初心クラスから上がれませんでした。教えてもらった指導員からまだそんなところにいるのかい?と言われて傷つきました。
〔T・Sさん〕 昨年12月15日に全摘出手術をして、1月28日にプロヴォックスの手術をしました。 赤木先生のホームページを読んでいて事前にプロヴォックスを知っていて安心して手術を受けられました。現在仕事に戻っておりますが、まだ電話には出ないで他の人に代わってもらっています。これからは出来るだけ自分で何でもしてゆきたいと思います。フリーハンズについては 医師からも推薦されておりますので、声が出ているのでその内に挑戦したいと思います。現在カセットの在庫がまだたくさんあるのでこれを使い切ってからにしようかと思っております。ラリボタンも試して見たいと思いました。
〔K・Nさん〕 昨年4月に全摘出手術をして6月にプロヴォックスを入れました。ようやく抗癌剤の投与が終わりました。今一番困るのは痰のことです。
〔S・Kさんから痰についてのお答え〕 痰は体の状態でも変わります、私も2年間は手で押さえて話しておりました。フリーハンズにしてからは出かける事前に処理しておけば間に合う程度に痰の量になりました。
〔I・Aさんから痰についての説明〕 痰は常に出ているもので健常者は知らず知らずに呑み込んでおります。我々は気管と食道が別々になっているので定期的に処置しないとなりません。以前は私もネクタイをしておりましたが、痰の処理が必要なのでバンダラやマフラーに替えました。痰はいつまでもゼロにはなりません。肺胞を大きくする呼吸方法をすると痰の量が経る事は確かです。
〔K・Mさん〕 昨年2月にプロヴォックスを入れました。 臭いの件ですが、以前から加齢臭のことを気にしておりオーデコロンを朝つけることにしております。それで毎朝オーデコロンを付ける時に臭いを確かめることにしております。
〔K・Nさん〕 昨年12月に全摘出手術をして、3月10日にシャントの手術をしました。15日から声を出しております。時々蠕動運動が始まると話せません。気管孔が小さくて日常の手入れも困っております。気管孔の大きさが1p×1.5p程度なのですが、これは小さいのでしょうか?
〔I・Aさんから気管孔について説明〕 私は、以前は手で押さえることを考えて小さめの気管孔にしていたことはあります。 小さくなりすぎると危険ですので、主治医と相談されて大きくする処置がありますのでして下さい、手術になる場合もあります。
〔Y・Aさん〕 昨年12月11日に横浜市立病院で単純全摘出手術をして、今年1月から神奈川銀鈴会の食道発声教室に週2回、月、金、と練習しております。家族とか仲間内では話しも通じるようになりました。食道発声法ですと声にボリュームが少ないので気にしており、実生活で大丈夫か心配しております。これから中級になりますが、プロヴォックスはどの様なものか知りたくて、参加しました。
〔S・Tさん〕 昨年2月に全摘出手術をして、同時にプロヴォックスも入れました。現在困っている点は食道が細くなって大体2mm程度で、食事はどろどろの状態にしないと飲み込めない。 例えば、そうめんは通りますがスパゲティーは通らないとかです。それで食事に1時間以上も掛かるので、いささかげんなりしております。悠声会のホームページを見て参加することにしました。これからもよろしくお願いします。
〔I・Aさんからアドバイス〕 食事の時に食道がある場所を上から下へ押し下げてみてくたさい。基本的には下りて行くはずです。
〔I・Aさん〕 声が出なくなるという理由で、手術を受けないで亡くなる方もいるのです。プロヴォックスですと90%の方は声が出るので前向きに手術を受けることが出来るのです。この事実を知らしめたいと思います。食道発声法でで発声できる方が30%として、残りの70%の方は手術後どの様にコミュニケーションを図るのか。それで無くとも癌を宣告されて落ち込んでいるのに、その上声までなくなると言われて気力を無くし、欝になってしまう人も居ます。シャント法は90%が喋れることは素晴らしいことで声の心配をしないで、手術を受けられることは重要な点だと思います。
〔K・Hさん〕 なめらかで、声が大きい方は羨ましい。家の中でくすぶっていないで、外に出て話すことが一番良いです。私は買い物の時は聞き耳をして話しを聞いてくれるのでほとんど伝わっております。これが練習としてはよいと思っております。
〔S・Tさん〕 食道発声で話しをしております。先程横浜のAさんの食道発声にはびっくりしました。練習を始めて経ったの二ヶ月で会話が出来るレベルとは、これまでにお会いしたことありません。是非頑張られて食道発声で社会復帰をして頂きたいと思います。注意しないといけないことは、練習を少しでもサボるとすぐに下手になることです。ですから春休みとか夏休みの時には普段と変わらずに練習をして下さい。 それと心配されている声のボリュームについては食道発声法はシャントには絶対に勝てません。使える空気の量が桁で違いますから、その点は諦めざるを得ません。シャントのことを調べることも大切ですが、そこまでお上手なら是非とも食道発声に磨きを掛けて頂きたいです。
〔S・Wさん〕 食道発声です。手術をして5年になります。皆さんと交流させて頂いてとても勉強になります。大きな声は出したくても出ないので羨ましいです。これからもよろしくお願いします。
〔T・Aさん〕 山形市から参りました。昨年6月に全喉頭摘出の同時にプロヴォックスを入れました。 まだ上手に話せないのでELでお話しします。 今日は、悠声会に来て大変励みになりました。 是非また伺いたいと思っております。 本当に有難うございました。
〔土田幹事より〕 私もプロヴォックスを入れて間が無かった頃は自信が持てずにELを持ち歩いていました。北海道にゴルフに行った時にプレーが終わってパーティの後ELが無いのに気が付き、キャディバックに入れて宅配で送ってしまってシャントで会話して始めて自信になり、それ以降ELを持ち歩かなかったのでした。 T・Aさんもあとは自信を付けるだけだと思います。
〔荒井さんより〕 悠声会のホームページに載せる、入院の経験とかの原稿を皆さんから頂きたいです。 原稿は個人名でも掲載する時は、イニシャルにして編集もしますので、また、事前に本人の了解を得る事にしております。ご協力をお願い致します。
〔土田幹事より〕 本日も、大勢の皆さんに参加して頂き有難うございました、言語聴覚士の先生方にもリハビリを6名行って頂き皆さん自信を持たれたと思います、有難うございました。 次回4月11日ですがよろしくお願いします。 5月30日は東大名誉教授、広瀬肇先生の講演ですので、ご参集をお願いします。 発行者・土田義男・野 茂、 以上
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